ホタルの生息地情報

現在ホタル取材のまっただ中です。でも具体的にどこのホタルを撮影しているかは申し訳ありませんが書けません。ホタルの生息地情報は地元の保護活動がそれをよしとしている場所(先日の吹田市のように、都市部のホタルは多くの近隣住民に知られることによって開発から守られる可能性が高まります)以外では、インターネットや書籍などで公開しない方が良いからです。
ホタルの生息地の多くは、残念ながらホタルを見たいという観察者の車のヘッドライトによって、その美観を大きく失っています。酷い場所になるとホタルが光っている時間に車のヘッドライトが当たらない時間が数分もないような場所も存在します。ホタルを見ているのだか車のヘッドライトを見ているのだか判らないほどです。
地元の人からしてみたら、多くの人に自分たちの里の良さを知ってもらいたいという思いとともに、こんなに夜に車で押し掛けられたらたまらないという思いとが交錯します。夜はとても車が怖くて道を渡れないという地元のおばあさんの声を聞いたことがあります。ホタルと一緒に生きて来た人がホタルを見れず、街からコウコウと明かりを付けた車の大群が夜の里を支配する。そんな構図です。
このような状況が起こる場所はホタルの生息地でも決まっています。インターネットでホタルの生息地として紹介されている場所、雑誌や旅本によって紹介されている場所です。すぐ近くの紹介されていない、もっとホタルの多い場所は大丈夫だったりします。
例えば私は原則的に生息地情報は市町村名までとしていて、写真集でもそのようにしているのですが、手慣れた雑誌のライターや同業者などなら、その場所を探し当ててしまいます。そのまま生息地情報を市町村名までで止めておいてくれればいいのに、中にはホタルの名所紹介や旅案内みたいな本を作るのを得意とする方もおり、生息地情報は事細かに書かれてしまいます。昨年など、私が詳細な生息地情報を出すことを拒否して断った週刊誌の企画が、そのままそのような同業者に流れました。
そしてそのような本や雑誌からの情報をさらにタウン誌や○○ウォーカーのたぐいが紹介します。
私は日本で一番車のヘッドライトの被害が酷いと思っているのは大分県なのですが、大分県内のタウン誌と九州ウォーカーがこぞって、「ホタル見ドライブマップ」などという企画を争っています。それが原因でしょう。九州ウォーカーからは一度写真を借りたいという依頼があったのですが、ホタル見ドライブマップを作る雑誌には貸せないと断ったことがあります。このような雑誌の編集者や編集長は一度自分が紹介したホタルの生息地がどうなっているか、きちんと知るべきです。「子どもの頃から前の川のホタルを見るのを楽しみにしていたが、車が怖くて道を渡れない」というお婆さんの声を現場で聞くべきです。
そして最後はインターネットです。サイトの作成者は親切心からなのでしょうが、インターネットでヒットするホタルの生息地は、もうホタルをのんびり見れる場所ではありません。都市部の昼間の渋滞と同じような光景が夜起こります。
せめてホタルを見に来るときは行き道だけでも夕方に来てくれと思います。それだけで片道のライトがホタルに当たりません。車も安全な場所に止められます。
そして一番ボタルを楽しんでもらいたい。ホタルの美しさはこの一番ボタルの輝きから乱舞へと続く時間の流れにあります。ホタルが闇を喜んでいるのが判る時です。これを知った人はホタルに車のライトを当てようと思いません。
乱舞の時間にだけ来るならばクリスマスツリーを見るのと変わりません。そのような人が生き物としてのホタルや自然への関心を深めるとは思えません。「きれいだね」で終わってしまうだけです。
だから私はホタルは夕方見に行くものと人に語ります。
そんな思いで一番ボタルの写真を今日はアップします。
ホタルの生息地情報はインターネットや雑誌ではなく、面と向かった個人と個人の間で伝えられていくのが良いかと思います。この人にだったらあのホタルを見てもらいたい、そのような人にだけ伝えていけばいいのです。
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