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2007年5月30日 (水)

ホタルの生息地情報

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 現在ホタル取材のまっただ中です。でも具体的にどこのホタルを撮影しているかは申し訳ありませんが書けません。ホタルの生息地情報は地元の保護活動がそれをよしとしている場所(先日の吹田市のように、都市部のホタルは多くの近隣住民に知られることによって開発から守られる可能性が高まります)以外では、インターネットや書籍などで公開しない方が良いからです。
 ホタルの生息地の多くは、残念ながらホタルを見たいという観察者の車のヘッドライトによって、その美観を大きく失っています。酷い場所になるとホタルが光っている時間に車のヘッドライトが当たらない時間が数分もないような場所も存在します。ホタルを見ているのだか車のヘッドライトを見ているのだか判らないほどです。
 地元の人からしてみたら、多くの人に自分たちの里の良さを知ってもらいたいという思いとともに、こんなに夜に車で押し掛けられたらたまらないという思いとが交錯します。夜はとても車が怖くて道を渡れないという地元のおばあさんの声を聞いたことがあります。ホタルと一緒に生きて来た人がホタルを見れず、街からコウコウと明かりを付けた車の大群が夜の里を支配する。そんな構図です。

 このような状況が起こる場所はホタルの生息地でも決まっています。インターネットでホタルの生息地として紹介されている場所、雑誌や旅本によって紹介されている場所です。すぐ近くの紹介されていない、もっとホタルの多い場所は大丈夫だったりします。
 例えば私は原則的に生息地情報は市町村名までとしていて、写真集でもそのようにしているのですが、手慣れた雑誌のライターや同業者などなら、その場所を探し当ててしまいます。そのまま生息地情報を市町村名までで止めておいてくれればいいのに、中にはホタルの名所紹介や旅案内みたいな本を作るのを得意とする方もおり、生息地情報は事細かに書かれてしまいます。昨年など、私が詳細な生息地情報を出すことを拒否して断った週刊誌の企画が、そのままそのような同業者に流れました。
 そしてそのような本や雑誌からの情報をさらにタウン誌や○○ウォーカーのたぐいが紹介します。
 私は日本で一番車のヘッドライトの被害が酷いと思っているのは大分県なのですが、大分県内のタウン誌と九州ウォーカーがこぞって、「ホタル見ドライブマップ」などという企画を争っています。それが原因でしょう。九州ウォーカーからは一度写真を借りたいという依頼があったのですが、ホタル見ドライブマップを作る雑誌には貸せないと断ったことがあります。このような雑誌の編集者や編集長は一度自分が紹介したホタルの生息地がどうなっているか、きちんと知るべきです。「子どもの頃から前の川のホタルを見るのを楽しみにしていたが、車が怖くて道を渡れない」というお婆さんの声を現場で聞くべきです。

 そして最後はインターネットです。サイトの作成者は親切心からなのでしょうが、インターネットでヒットするホタルの生息地は、もうホタルをのんびり見れる場所ではありません。都市部の昼間の渋滞と同じような光景が夜起こります。

 せめてホタルを見に来るときは行き道だけでも夕方に来てくれと思います。それだけで片道のライトがホタルに当たりません。車も安全な場所に止められます。
 そして一番ボタルを楽しんでもらいたい。ホタルの美しさはこの一番ボタルの輝きから乱舞へと続く時間の流れにあります。ホタルが闇を喜んでいるのが判る時です。これを知った人はホタルに車のライトを当てようと思いません。
 乱舞の時間にだけ来るならばクリスマスツリーを見るのと変わりません。そのような人が生き物としてのホタルや自然への関心を深めるとは思えません。「きれいだね」で終わってしまうだけです。
 だから私はホタルは夕方見に行くものと人に語ります。
 そんな思いで一番ボタルの写真を今日はアップします。

 ホタルの生息地情報はインターネットや雑誌ではなく、面と向かった個人と個人の間で伝えられていくのが良いかと思います。この人にだったらあのホタルを見てもらいたい、そのような人にだけ伝えていけばいいのです。


 

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2007年5月29日 (火)

ホタルの撮影技法

昨日の吹田のヒメボタルの写真もそうなのですが、私のホタルの写真は今までの写真の撮り方と違う新技法で撮っております。これは銀塩カメラを使っていたころも同様なのですが、ホタルの軌跡よりも背景の描写を優先するという私の目的から発生したものです。

特にデジタルカメラになってその技法がより進歩して、銀塩カメラではとても撮影できなかった都市部のヒメボタルや満月下のホタルが撮影可能になりました。

吹田の写真でいえば、連続した6秒x20駒で120秒の長秒露光に変えています。これによって6秒以上露光をかけると昼間のように写ってしまう都市部の街明かりの雲の照り返しに対抗してホタルの軌跡を残せるわけです。このような都市部のホタルはこの新技法によって初めて記録できるようになったと思っております。

こういう新技法を始めると、同業者などから「そんなのは写真でなくて合成写真だ」「写真は時間の芸術なので、時間を区切ってはならない」などという批判を受けます。結構あちこちで言いふらしている輩もいるようです。

そのくせ他の撮影技法(色調)やら撮影場所は、そのような同業者によく真似されることが多いのですが・・。これは私の写真集「螢」が出てから、やたら他の写真家のホタル写真がみな青くなったので自明ですよね。私の写真集に出ていた撮影場所を真似されるのはともかく、その生息地情報を「ホタル旅」とか称して公開されるのはたまったものではありません。

まあ撮影技法への批判は放っておくことにしています。表現したいものが違うのだから仕方ありません。そのような方は蛍の軌跡が不自然に長すぎる露光でぐじゃぐじゃしたような写真を「時間の芸術」だと思っているのでしょう。

私が撮りたいのは「日本のホタルの原風景」です。言い換えれば次世代に伝え残したいホタルが舞っている風景です。これを撮影するために、今までの写真技術でそれが不可能ならばそれを可能にする新技法を次々と開発してきました。

(何のことだか)訳の分からない「時間の芸術」ではありません。それはそれを撮りたい人が、お好きなように撮っていればいい。

写真はカメラが撮るものではなければ、時間が撮るものでもありません。写真家が撮るものです。私もこんなとこでぶつくさ言っていないで、撮るべきものへの葛藤を進めないといけません。私が撮りたい風景はいつまでもそこに残っているとは限らないからです。私が相手にすべきは、消えつつある風景です。

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2007年5月28日 (月)

吹田市のヒメボタル

 Suita1_1 5月26日に講演で大阪に呼ばれたため、その夜は吹田市のヒメボタルを撮影しました。サムネイルではよくわからないので写真をクリックして拡大してみてください。ゲンジボタルの撮影が続いていたので、久しぶりのヒメボタルの輝きを見れてうれしかったです。華やかなゲンジボタルもいいですが、ほのかなヒメボタルの味わいもまたいいものです。

吹田市は団地の中に緑地が残されていて、その緑地のあちこちにヒメボタルが残っています。この日も多くの住民がホタルを見に来ていました。

住民の有志がホタル調査を10年にわたって続けているため、ホタルの活動の様子が非常に細かく記録されています。今年は現在何匹見れているかの情報が公開されています。こういった活動は非常に大変ですが、10年の継続によって貴重なデーターが蓄積され、いい資料になることでしょう。ホタルとともにホタルを愛する人たちの文化が伝え残ると思います。

小原は再度九州に戻り、ホタルとともに北上を始めます。

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2007年5月23日 (水)

街に下りて来ました

街に下りて来て漫画喫茶から久しぶりにネットに繋げています。
昨日のホタルの撮影風景を一緒に動いているチームのYカメラマンが撮ってくれました。
P1000028釣り具のウェッダーを履いて、川の大きな岩に上ってホタルが出るのを待つ私です。岩も大きいが私も大きくなったなあ。実はホタル取材は、思ったより体を動かさないのと、撮影前に夕食を食べ、撮影後にほっとして、ついつい夜食を食べてしまうので、大きくなりがちです。
 我がチームでは撮影後に近くのコンビニによってのソフトクリーームがちょっぴりブームです。
 やばいなあ、といいつつ率先して食べています。

 また近況を報告しますね。


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2007年5月20日 (日)

「暖流」の原作を読んでいます

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宮崎に向かうフェリーに乗っています。
 早朝のフェリーで海を見ながら読んでいるのは、「暖流」(岸田国士)の原作。先日書いたように、この原作を元にした昼ドラの「暖流」にはまっていて、毎日欠かさず見ていただけに、取材中に見られないのが残念。もちろん自宅ではきちんと録画予約をお願いしてあるのだが、同日に見てこその昼ドラですよね。
 せめて暖流気分を維持しようと、ネットの古本屋さんで入手したのが、この原作本。時代背景が全然違うので、ドラマがだいぶリメイクしているのが良く判るが、それはそれで面白い。
 その暖流に逆向かうかのように向かっているのは九州。
 今年のホタル取材が始まります。今年は詳しくは後日書きますが、チームを組んでの大掛かりな撮影を行うので、例年のような寂しさはないのですが、当然ながら色々と拘束もされます。
 昨年までアザラシファンの方の希望者の方と小規模に行っていた「ホタル会」ですが、今年はスケジュールとそのチーム撮影のために行うことができそうもありません。皆さんに個別に連絡できていなくてすみません。ホタル会に参加したことがあるような人はこのブログを読んでくれていますよね。連絡に変えさせて下さい。
 ホタル取材で困るのはネット環境が悪いことです。今まで色々なネット接続方法を試したのですが、どれも一長一短があってこれぞというものがありません。PHSはもっとも一般的な接続方法ですが、ホタル撮影の場所ではほとんど繋がりません。またスピードが遅すぎてイライラして結局ネットカフェに入るということが多かったです。コンピューターに携帯電話を直接繋ぐ方法はスピードは出るのですが、パケット代がべらぼうでした。一度酷く痛い目にあいまして、さすがに凝りました。
 公衆無線LANが使える場所、ないしはLANがあるホテルを使うのが一番なのですが、なかなか地方ではこれがないのですね。各自治体などが、もっと無線LANが使える場所を増やして欲しいです。ときどき市役所の駐車場で使える市があり、非常に助かります。
 そんななか結構増えて来て助かっているのがネットカフェや漫画喫茶です。若者達が良く遅くまでたむろするのが判ります。高速ネットが必要なときやプリントアウトをしたいときなどは近くの町まで深夜に車で行って、このような漫画喫茶に入って仕事をしています。
 欠点はいい年こいて入会カードを書くのが恥ずかしいこと。20歳そこらのバイトの店員さんからみたら、このオヤジいいとしこいてこんな遅くまでなにやっているのだろうと思われているのでしょうね。
 メールだけはいい方法を見つけました。一度Macbbokで打ったメールをMiniSDカード経由で携帯電話にコピーして送信しています。この記事もそうやって送信しています。

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2007年5月17日 (木)

忙しくて・・

 5月の半ばだというのにまだホタルを見に行けていない。
すでに平野部のヒメボタルや暖かい場所のゲンジボタルは光出しているが、写真のデスク作業がいっぱい溜まっていて、出るにでれない。カメラマンの仕事にコンピューター作業が多くなって、昔にくらべると負担が大きいです。前は撮って、現像して、それを渡すだけで済んだのが、今はデーター仕上げから見本のプリントまで仕上げないといけません。

今週末から九州からのホタル取材を始めます。
毎年のことながら直前になってバタバタ用意を始めることの繰り返しです。


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2007年5月 1日 (火)

子どもと流氷

602u2017 ゴールデンウィークなので子どものことでも書こうと思い、子どもと流氷のことを。
 写真に写っているのは我が家の次男の海斗(7歳)が5歳の時に、流氷に連れて行ったときものもの。海斗は妻の近著「発達障害でも大丈夫」(河出書房新社)にも書かれているように、発達障害(自閉症)を抱えた子です。
602u2054 その海斗をアザラシの赤ちゃんの元に連れて行ったらどうするか? 小学校のスライドショーなどでクイズにすると、まあみんなが「触った」「いい子いい子した」と答えます。まあ当たり。さてその次は? これは当たりません、答えは写真の通りに「枕にした」です。決して野生動物に対してとるべき行動ではないが、海斗らしいと言えば海斗らしい。自閉症の子は言葉や文章で入ってくる情報のインプットに障害があり、より視覚から入る情報を優先させる。海斗から見たらうちにある「ゴマちゃん枕」のように見えてのでしょうね。
602u2693 そして海斗はアザラシに怒られます。あわてて逃げる海斗。そのあと海斗は流氷をあちこち探検しだします。これは子どもを流氷に連れて来た時に、よくあることなんだけれど、子どもはアザラシの赤ちゃんよりは流氷により興味を示します。子どもから見たらアザラシの赤ちゃんがいっぱいいるということは、他の動物、たとえば羊や牛や馬がいっぱいいる牧場を見るのと大して変わらないのかもしれない。相手が赤ちゃんだということだけ。大人や親は「珍しい」という情報が先にインプットされているから、ついついアザラシばかり見てしまう。
602u2568 でも子どもは流氷のダイナミックさを見落としません。どこまでも続く氷の世界で、すべての形が変わっている。こんな面白い光景は見たことがないと。子どもはこうやって自然と親しみ、自然に触れていきます。
 私はこの時、海斗に自然の見方を教わったような気がしたものです。

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