読売新聞アザラシ
今日の読売新聞の夕刊に社員カメラマンが撮った知床の流氷のアザラシの記事が載っています。
1面はT君という若いカメラマンが撮影。私と同じ船から撮影し、私が見つけたアザラシですが、T君大きな間違いを。このアザラシたちは母子ではなく、成獣のメスと1、2歳のアザラシですね。赤ちゃんではありません。赤ちゃんならこの段階まで毛変わりしたら母子が一緒にいることはありません。毛の色も赤ちゃんの色とは異なります。1年以上経った毛の色ですね。
実は最初私もゴマフのラグジャケット(毛変わり中)の濡れた赤ちゃんではないかと思ってそう発言したのですが、乗船中に訂正しました。T君それを聞いていなかったのかな。双眼鏡で見ていた時にはあいまいだったけれど、こうやって写真で見ると明らかですね。
本文の記事で、ちょっと疑問に思える点があります。
日本海側でもアザラシが見られるようになった理由に「流氷が減って往来しやすくなり」という学者のコメントがありますが。それは不十分すぎる説明です。アザラシは何も道を求めているわけではありません。ここでは移動の可否(道ができた)ではなく、移動する理由を述べないといけないところです。多分学者はきちんと説明しているのですが、そのコメントを選ぶ記者が選択を間違えているのでしょうね。
移動の理由は、それこそ流氷の融解の速度と、それを受けての安全な出産に関係すると私は昨年のカナダの事例から推察します。カナダでも出産域の変化が昨年現われました。種の保存への本能から、彼らの行動の変化を語るベき部分です。
地球温暖化による流氷の面積の減少については語っていますが、もっと肝心な流氷の融解の速度の加速については触れていません。流氷を面積で語ってはダメではないが、不十分です。流氷はほんのわずかの寒い日があれば広くできるので、広さではなく、どのように融解していくか。そこが地球温暖化なのです。
アザラシと流氷のことを書くなら、せめて私の「流氷の物語ーアザラシの赤ちゃん」ぐらいは読んでから書いて欲しいなあ。
続報(4/22): T君は母子とは書いていなかったのに、東京サイドが学者に写真を見てもらったうえで「母子」と書いてしまったようです。色々詳しい人にも確認しましたが、間違いなく「母子」ではありません。私も水族館で確認までしましたが、大きさ、毛色、行動、状況のどれもが母子であることを否定します。また、同じ記事で抜海での赤ちゃんの死体のキャプションに「流産」とありますが、どうみても「死産(早産)」ですね。これは大きな間違いですね。
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コメント
読売新聞の記事はいかのもきれいごとというか、あまりにも表面だけを捉えてのものですね。その辺の季節の写真とあまり変わりないように思えます。
小原さんの言われるようにもっと突っ込んだ内容にしてほしかったと・・・。いかにも悔やまれます!!
小原さん めげないでください!!
このブログからの発信を一人でも多くの方が読んで共感してくれることを信じています。
自分ではどうすることもできない生き物を、人間の便利さ、都合よさのために壊してしまった環境を少しでも元に戻していくことが必要ですよね!!
小原さんを応援することしかできませんが、人間を信じます!
投稿: junnko/ito | 2008年4月16日 (水) 22時29分
junko/itoさま
今日の北海道新聞の夕刊なんて、もっとひどいのです。
「流氷がなくなってシャチが来た」で
シャチ観光が始まるよといった記事です。
馬鹿じゃないかと思います。
今年のアザラシの赤ちゃんたちはそのシャチに襲われたと思います。
読売の写真のアザラシはなんか狙撃手が撮ったかのような
写真なのが気になります。
そこにアザラシがいる意味を考えて撮ると違うのですが、
業務指示だけを聞いて撮りに来ると狙撃手になってしまうのでしょう。
投稿: 小原玲 | 2008年4月17日 (木) 18時33分
どちらの新聞記事も目を通しておりませんので
ニュアンス的にしか判りませんが、
最近新聞は全体的に薄っぺらな記事が大半だと思えてなりません。
陸側から見ている目線では流氷の勢力の大小は季節の移り変わりの一こまとしか写らない。もしくは写らないようにして大きく捉える気がないのかなぁ。
報道をする側は日常の風景が崩れてきている事を真剣に伝える事にもっと努力をしてほしいと思います。
先日ちまのいるM市海岸にミンククジラがストランディングしました。7mほどでこの辺りでは近年見られていないとのことでしたが
道新の記事では、市の担当者のコメントで『あくまで推定ですが頭部に傷があり尾ひれが裂けていることから船にぶつかり頭を打ちスクリューで尾を切ったのが原因でないか』と言ったような内容でした。
このあたりの海で7mのクジラが脳震盪を起こすぐらいの衝突を船としたら船もただではすみません。大型船の行き来はない海域です。もしFRPの漁船なら..考えればわかることです。
元々クジラ類のストランディング自体原因がわからないことが多いです。ましてオホーツク独特の流氷の影響や、流氷下の生物の増殖の影響などクジラが浅い海域に入り込んでしまった可能性は多々考えられます。
最近近隣の海底の撮影調査中に海底が見えないぐらいのオキアミがいたなどという話をちまも耳にしましたし、
コメントはあくまで一方向の見方ですから、それも有りか..とも思いますが、それを記事にする記者の側はもっと勉強と取材をしっかりしてほしいと思ってなりません。
なんかアザラシと関係のないお話ですみません^^;
投稿: ちまちま | 2008年4月18日 (金) 09時42分
ちまちまさま ありがとうございます。
私の羅臼滞在中にもツチクジラを1回、シャチは何度も見かけました。
また羅臼の流氷の下にはオキアミが大発生していました。
自然はすべて繋がっていますので、
クジラの問題、アザラシの問題、地球温暖化
どれも関係があるのかと思っています。
過去の流氷分布の資料を収集したいと思っています。
M市のセンターに問い合わせをしようと思っています。
私は大昔M市の砕氷観光船が始まる時に
雑誌の取材カメラマンとして撮影に行きました。
その時の流氷は今とは比べ物にならないくらいすごかったです。
投稿: 小原玲 | 2008年4月18日 (金) 12時53分
今頃になってようやく夕刊を拝見。
たしかに素人が見ても流産ではないように見えますね。
というより、
素人の目からすると、
この写真は
生まれたときは生きていたけれど、
すぐに死んでしまったように見えました。
投稿: 万次郎 | 2008年5月 2日 (金) 20時10分
万次郎さま
遅くなってすみません。コメントありがとうございます。
この写真ははたして新聞で使うべき写真家どうか?
動物の死体ってそんなに見たいものではありません。
人間の赤ちゃんの写真だったら使わないですよね。
新聞社の人の感性って結構大雑把なのです。
投稿: 小原玲 | 2008年5月11日 (日) 13時33分
確かに、そのとおりですね。事件・事故がもりだくさんであることも影響して、感性がマヒして(マヒさせられて)、カメラマンもその上司の目も、くもってしまっているのかも。商業的にも、動物の赤ちゃんの死体よりも優先して載せるべき写真を撮影していただろうと思うのですが・・・・・・。
投稿: 万次郎 | 2008年5月12日 (月) 12時26分
万次郎さま どうもです。
そう思います。人間の死体を載せることに関しては、倫理が働くのですが、動物の赤ちゃんの死体には働かないのですね。もっと伝えてほしい情報がいっぱいあるわけです。彼らも流氷の取材をもっとしていれば、私と同様のことに気づいた可能性もあります。
投稿: 小原玲 | 2008年5月13日 (火) 07時04分