デジタルモノクロの紙選びは、何枚も試し刷りをするので結構大変です。そして、なかなかカメラ雑誌では小さなメーカの紙まで網羅した記事がありません。どうしても広告を多く出すメーカーの製品を中心に評価してしまうからです。デジタルモノクロに興味を持たれた方の参考になるように、自分の紙選びの経験を記しておきます。
現在行き着いたのが二つの和紙です。何も和紙にこだわらず、色々な紙を試していたのですが、なぜか最後に残ったのが個性が正反対の和紙になりました。
一つ目はコスモスインターナショナルが発売している「ピクトラン局紙」。越前和紙の局紙をベースに特殊なコーティングを施しているものです。表面はもはや和紙というより別物の性質を持つといっていいほど、しっかりしたコーティングが施されているため印刷適正が非常に高い。色々な紙をテストしたが現在のインクジェット用紙の中で表現力は最高峰にあるといって過言ではないでしょう。モノクロでの評判が高い紙だが、カラーも素晴らしく良かったです。この紙を使うとデジタル写真は、データーが持つ能力を最大限に出す事ができ、データー次第ではアナログ印画紙に負けない表現力が出せるといっていいと思います。
そしてもう一つ気になっている和紙があります。アワガミファクトリーという和紙共同組合の「びざん」というインクジェット用の手漉きの和紙です。手漉き、耳付きという紙本来の存在感がなんともいえず良いです。印刷結果はコーティングが控えめなのか、現在の他社のインクジェット用紙に比べるとインクの乗りが弱くメリハリに欠けます。なので他の紙と見比べると見劣りしてしまいます。色の彩度などを数値化して比較すれば、かなり劣っているでしょう。
ところが写真というものは見比べながら見るものではありません。それ以上にその写真が好きかどうかの方が、はるかに大事だと私は思っています。
その視点で見てみると、この手漉き和紙にプリントした写真にはなんとも独特の愛着があります。特に色調や濃度がドンピシャにハマった写真の場合はなんともいえず良いものです。ただし、それが再現性の高さから来るものではないため、何度もプリントを試行錯誤しないといけません。上手く行った時の表現は、非常に落ち着きがあり、その良さはアナログ印画紙でも出せないし、なんといっても質感はアナログ印画紙を超えています。
面白いことに、和紙以外の他国の高品質インクジェット用紙のほとんどが、この二つの中間に位置づけられるといっていいことです。二つは「表現力と質感」といっていいでしょう。
昨日の日記にも書いたフランスのアルシュも、現在ではインクジェット用紙を出していますが、まさにこの中間に属すると考えます。アルシュの中でテストしたのは「ピュアホワイト・ソフト」です。表現力も質感もいいので、ある意味非常にバランスがいい紙であり、その点さすがにアルシュだということにもなります。
もう一つ特筆しておきたいのが、ピクトリコのベルベッティーという比較的安価で売られている紙です。プリントしたものを他人に比較させて選んでもらうと、不思議といつも上位に来ます。
さて私が欲しい紙とは、それは「ピクトラン局紙」と「びざん」の両方の個性を持つ紙です。それがなければ目的に応じて使い分けますし、時にはその中間のアルシュを選びます。でも「びざん」に「ピクトラン局紙」のコーティングが施されていたらなどと、考えてしまいますよね。
現在好きな紙2種がそれぞれ和紙ベースの日本製ということが嬉しくあります。どちらの紙の制作者にも頑張ってもらいたいものです。デジタルモノクロ・プリントは表現でアナログを超えるか、質感で超えるか、その両方がそろえば間違いなくアナログを超えます。
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