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2008年12月30日 (火)

北極の氷は増えているのか?

 昨日フジテレビを見ていたら武田邦彦さんが「北極海の氷は過去最高に増えている」と発言していたので、気になって調べてみました。発言の趣旨が武田さんが主催するHPニュースにありましたのでリンクします。
 元になったのはInternational Arctic Researchのデーターです。
 たしかに瞬間的に「11月としては」過去(記録がある2002年から)最高になっています。しかし、これをもって「最高値」というのはいかがであろうか?全記録の最高値ではなく、11月比較という限定的な比較だからだ。ふつうこのような場合に「過去最高」という言い方はしないのに、テレビで発言することによって、「過去最高」という言葉だけが一人歩きしてしまうことを危惧します。
 ただし、たしかに2008年に関しては前半も氷は増えていて、この秋口からの再増加も増えているが、注目すべきは、夏には、どどっと減ってしまっていたことだ。(2007年夏が最小で、2008年夏がその次)こちらの方がよほど意味としては重い。

 流氷をずっと見て来て感じていたのだが、流氷の異変を警告しだしたこの10年、時によっては氷が多かったりした年もあった。それを見て、「ああそんなに深刻ではないのかも」と思いたくなったこともあるのだが、氷が解けるのが早かった。氷は少し寒い日が続けばすぐに広くできるので、大きさでだまされてはいけないということが私の体験から伝えたいことです。地球温暖化の異変は解けるスピードにあると私は思っています。なのでその意味では2007年も2008年も良くないデーターです。
 そして何より問題は北極海の氷の面積の変化ではなく、地球温暖化の変化です。これはそのままイコールではありません。

 それと「温暖化でかえって日本は住みやすくなる」のような発言もありましたが、この発言にも私は異論があります。地球温暖化で問題なのは「温度が上がること」ではなく、「急速に温度が上がる」ことです。ゆるやかな変化ならば自然や人間はそれに対応していくことができます。しかし、現在の温暖化による変化のスピードはそれを上回っているように見えます。

 武田邦彦さんの著書はひと通り読んでいるが、私はおもむね好感をもっています。ペットボトルのリサイクルや、ゴミ分別の問題などに潜む矛盾を指摘した意味は大きい。しかし、テレビというのは非常に怖い媒体です。武田さんの考えを通り越して発言が一人歩きしかねない。
 武田さんのような疑問を呈することは非常に大事です。
 しかし、それをそのまま鵜呑みにしないできちんと「考える」ことが重要です。きちんと考えると私は上記のように異論を呈します。

 ただ・・来シーズンのカナダのアザラシの氷は良いような予感というか期待を持ちます。

追伸:この記事の続編を書きました。(1/8)

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コメント

 気候変動の原因が温暖化によると強くインプットされているという危険はありませんか。 IPCCの4次報告ですら温暖化と異常気象の関係は証明できないとしています。 

投稿: | 2008年12月30日 (火) 08時21分

 言葉足らずになりました。 北極の氷については面積の変動幅が大きくなっているだけで減少しているわけではなさそうです、つまり冬場は以前より面積は広がる傾向にあり、夏場はより小さくなっています。 その原因も温暖化ではなく北極振動のせいであるという専門家もおられるようです。 

投稿: | 2008年12月30日 (火) 08時32分

玲さん、小生もその番組を見ていましたよぉ。正直言って、あのオヤジに好感は持てませんでした。「それを言ってどうなるの?」という感想です。そもそも私たちは浪費を習慣にしてきてしまいました。それを改めようという気分をあえて冷ます必然を感じません。まったく賛同できませんでした。真実がどう、というよりも、姿勢も問題です!浪費や破壊を極小にすることに理由なんか要らないですよぉ。

投稿: たてまつ | 2009年1月 1日 (木) 03時02分

(名前のない方)ありがとうございます。
そもそも温暖化と異常気象の因果関係は科学で証明できるものではありません。賛否どちらにせよ仮説であり、絶対的な結論がでることなどありえないでしょう。
なのでその議論をすることより、その可能性の高さと、他の可能性との相対的な比較で判断するべきことでしょう。

氷の面積の変化の幅が増えているのは、温暖化で解けた氷から出た塩分濃度が低い水が寒くなって再氷結するということだとしたら、それゆえに面積は増えやすくなります。つまりこのグラフで見られる2008年の変化は温暖化の影響そのものだと私は思います。

投稿: 小原玲 | 2009年1月 1日 (木) 21時44分

たてまつさま どうもありがとうございます。
「姿勢」ってすごく大事だと思います。
前向きや希望の見える姿勢からの、議論反論ならいいのですが、簡潔に否定するテレビで発言は危険だと思いました。
あの人の文章をきちんと読むと、きちんと調べて考えている人なのに、あの番組で発言はテレビに踊らされている感じがしました。

投稿: 小原玲 | 2009年1月 1日 (木) 21時49分

北極の海氷面積が2000年以降は、確実に増加傾向を示していることは間違いない事実です。

参照:ニコニコ動画 【地球】北極の氷は融けているか?【温暖化】ビデオの紹介
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/7850592.html

また1月4日の北海道新聞に、アラスカ大国際北極圏研究センターの名誉教授赤祖父俊一氏による、北極の海氷面積の増減に関する知見が紹介されています。
(一部転載)
「北極海の海氷が縮小傾向にあったのはCO2の増加が主因ではなく、1800年代の小氷 河期からの回復と北大西洋と北太平洋の暖かい海水の流入による自然の準周期変動による。たまたま07年には風によって流れ、著しく縮小した。これをとらえて大騒ぎしたのが間違いだった。」(転載終わり)

参照:CO2での大騒ぎに疑問が・・
http://aruaru.puchirinco.com/?eid=695496

投稿: スパイラルドラゴン | 2009年1月 7日 (水) 23時31分

スパイラルドラゴンさん
コメントありがとうございます。申し訳ありませんが、書き込まれた冒頭部分は削除させていただきました。
 
 氷の量の減少を判断する際には、最小となる夏で判断すべきです。それ以外の季節では夏に解けた氷が再氷結するものを含んでしまいます。衛星からは同じような氷に見えかねませんが、できたての薄い氷です。このような再氷結は万年氷が解けるからこそ起こるものです。このような薄い氷と万年氷を一緒に面積で比較してはだめです。なので面積だけでの比較法は間違っていると私は考えます。氷の質も問題です。
 氷の面積は温度に比例しません。このことをリンクされたビデオでは考慮されていません。しかし、年間の最小面積は(年ごとの)温度の上昇と因果関係があります。
 なので最小面積を見ると2000年以降はビデオのグラフからも減少傾向です。
 そしてビデオや赤祖父先生がいうように最小面積では2007年よりも2008年は増えています。昨年のカナダの流氷もそうでした。しかし、この1年だけで断定はとてもできません。私の流氷での20年間にはこのような面積増加の年に何度だまされたことでしょう。
 2008年の北海道が流氷が解ける速度が尋常でなく早かったように、氷の質は良くないのです。
 このようにもっとも変化を示すのは氷が解ける速度です。これがこの10年早くなっている。この数年北極の氷の季節ごとの増減の幅が広く見えますが、これは解けるスピードが早いからといえるでしょう。

 そして、なにより一番信じるのは自分が見て来たものです。私が見て来た海氷は明らかに減少しています。しかもその早さはこのような疑問で躊躇している時間を許してくれません。

 ただしそれがCO2の増加と因果関係があるかどうかは先にも書きましたが、科学で断定できるものではありません。同様に否定も甚だ困難です。明らかなのはCO2の増加傾向と温暖化、海氷の減少が同じ方向性を示しているということです。
 しかし、それだけで大騒ぎする必要は十分あると考えます。
 目的は科学による因果の解明ではなく、よりよい未来であると思います。より良い未来の為にどうするかの判断を、現在の科学で判りうる範囲で考えるしかありません。
 私は次世代のためにCO2を減らす社会を求めます。どの学者がより正しいかよりも、排出CO2が少ない社会の方が未来にふさわしいと思う。それだけで十分だと思います。次世代の子どもたちは科学的な因果関係のより詳細な結論をもとめているのか、それともより良質で住みやすい社会をもとめているのか。その判断を優先すべきです。

投稿: 小原玲 | 2009年1月 7日 (水) 23時50分

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