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2012年7月10日 (火)

撮影データーよりも、なぜこう撮るのかを見て欲しい

2012
 アマチュアカメラマンが多く集まる撮影地に行くと、ホタル撮影の質問ぜめにあいます。特に初めてホタルを撮る人からは、「感度はいくつ? 露光は何秒?」と次々に聞かれます。
 風景にしたって、人物にしたって、同じ場所で撮る露出は写真家によって様々であるのと同じで、ホタルの露出にも様々なものがあり、私は現場でそれを使いわけます。それらの露出のうちのどれを選ぶかによって、その写真家の個性とその場所の特徴が表現されます。
 ところが、最近の写真のレッスンプロの緒「先生」方は、こういうときにこんなカメラとレンズを、こうセットして絞りはこれで、シャッターはこれ、と「ご指導」されます。
 ろくにホタルをあまり見たことがないレッスンプロの方がそれをやるおかげで、最近のアマチュアのホタルの写真は、妙にホタルが明るすぎて、ホタルの軌跡がごじゃごじゃした写真が多くなりました。データーを見ると「標準レンズ F1.4 40分(レイヤー) ISO1600」 などというのがほとんどです。ホタルの光は黄色が飽和して、何がなんだかわからないてんこ盛りの軌跡が写っています。
 そういった写真を見るのが嫌で、今年はブログなどでホタルの撮影データーを書くようにしたのです。

 さすがにアマチュアカメラマンでこの人のホタル写真は別格となんどかFacebookで取り上げた妹尾晶さんだけは気付いていましたが、私が伝えたいのは「どんな場所を、どんな風にホタルが飛んでいるのか」なんです。
 なのでただやたらめったら構図を組んでいるのではなく、またホタルが多い方向にカメラを向けているのではなく、写しこみたい植生の木の種類があります。
 そしてホタルが私の目に写ったような光景を、どうやって軌跡で表現するか、それを真剣に考えて、露光時間を決めます。やたらめったら多くすれば、ホタルがなぜそこを飛んでいるのかという情報がなくなってしまいます。
 
 ホタルをどう撮るのか?私も今までに何度か高額なギャラに釣られて指導してしまったことがあります。
 「ホタルを良く見ること」
 「生息地の音を聞くこと」
 「早く生息地にいって、ゴミ拾いをすること」

 こんなことばかり私は力をこめていいます。

 でもこれが本当にホタルを撮る秘伝中の秘伝なんです。私が一日で金ボタルの作品が撮れるのは、10年前に毎日、他のカメラマンが出したゴミ拾いをしていたからなんです。ゴミ拾いをしていると、その場所の生息地のいろいろの情報が目から入って来ます。「あっ、ここはこういう場所だからホタルがいるんだ」それに気付きます。
 そして来る日も来る日もゴミ拾いをしていたら、地元の人とは仲良くなります。あっ、地元の人はこういう想いでヒメボタルと共生してきたんだな、それに気付きます。
 こういった情報、知識が、露出や構図を決めるのに重要なのです。ただ私と同じ露出でシャッターを押しても、同じものは写りません。
(ペケプロ1 EF35mm/1.4L F1.4 10分 ISO640 岡山県新見市哲多町 2012.7.9)

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コメント

カメラを始めたころ、うまい人たちの写真を見るたび「絞りは?」「シャッタースピードは?」といった撮影情報が気になったものです。
写真に真剣に取り組んでくると、技術的なことよりも自分が撮影した時の感動が大事なのだと気づきました。記憶に残らない写真はしょせんうわべだけの写真なのだと思っています。そして、写真には残らない撮影情報(たとえば人物であれば、その人との会話)を覚えておくようにしています。

投稿: こうじ | 2012年7月12日 (木) 13時54分

 昔の銀塩フィルムの時代なら、現像するまで結果が判らなかったので、撮影データーは大きな関心事でした。でもデジタルになって結果がすぐ判り、コンピュータの後処理で大きく露出も修正できるようになって、データーにこだわるのはもはや意味がありません。
 それよりも「何をどう写したいか」ですね。これが欠けている人が往々にデーターの質問攻めをしてくるようです。
 記憶に残る写真を撮りたいですね。
 どうもありがとうございます。

投稿: 小原玲 | 2012年7月12日 (木) 14時04分

はじめまして。
申し訳ございません。生意気な事を書かせて頂きます。
最初に謝らせて頂きます。

例えば1度に指導する5人のうち1人が気付き、その人が仲間5人に伝えて1人気付けば、2人気付いてくれます。
啓蒙活動としては地味ですが、それを繰り返していくのもひとつの方法だと思います。そこにかけるエネルギーも生活の糧になりますし。

最近、機材の性能や画質と、表情や気持(やその背景)を写す事を同じと思っている人が多い気がします。それを伝えていける立場の人は少ないです。

投稿: (^・^) | 2012年7月12日 (木) 15時10分

>最近、機材の性能や画質と、表情や気持(やその背景)を写す事を同じ
>と思っている人が多い気がします。それを伝えていける立場の人は少な
>いです。

まさにそうです。
デジカメになってよけいに悪くなっているのかもしれません。

投稿: 小原玲 | 2012年7月12日 (木) 16時49分

小原怜さんの蛍の写真集を図書館でみてNHKの特集も見せていただきました。
今日のこのブログの文章、ほんとに蛍が、いえ、日本が好きな写真家の方なのだなと実感しています。
私は広島県福山に住んでいるのでここに行こうと思えば行けると思います。
FBの方も見せていただいています。
私は豊松の辺りで源氏蛍を毎年撮りに行っています^^
誰にも教えてもらったことはありませんが。。
合成してもしなくても1・2枚はお気に入りが撮れるのでそれでいいかと思っています^^
ご近所の方の優しさ身にしみますよね^^
毎年お話させていただいています。
今度は、ごみ拾いもして見ようと思います。

FBつながりですが、、原発よりももっと足元の素敵な景色に目が行けばきっと日本の未来もよくなると思うのですが。。

投稿: ほんた | 2012年7月12日 (木) 21時42分

ほんたさん ありがとうございます。
 ここ1、2年のデジタルカメラなら長秒でのノイズは激減しているので、かつてのデジカメのように背景とホタルとのレイヤー合成は、しなくても写るようになってきています。私も今年のペケプロ1からは、あまり重ねないですね。
 広島もいいホタルがいますね。私が好きだったのは山の方の、口和町あたり、まだ飛んでいるんじゃないかなあ。ここ10年程行っていません。

投稿: 小原玲 | 2012年7月12日 (木) 21時50分

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