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2013年12月11日 (水)

私が富士の「JPEG撮って出し」を多用する理由

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 昨日アップしたカットのRAWデーターがあったので、それをきちんと真面目にRAW現像してみたのがこちらです。使用したソフトはPhotoshop CCのCamera RAWです。RAWデーターから、「色かぶり」を抜いて、彩度やコントラスト、露出も上げています。
 私は比較はあまり好きではないのですが、違いを見せるために並べてみます。
Rawjpeg
 こんな感じになります。左がフィルムシミュレーションVelviaでのJpeg撮って出し、右がRAWからかなり真面目に現像したものです。
 青空の色はRAWの方もかなり「マゼンダ色」に振って記憶色に近づけているのですが、まだ富士の記憶色には足りなかったです。これ以上振ると黄色い家の色がオレンジに変わってしまいます。
 どっちが「良い」かの比較は置いておき、違いがどこに現れるかを見ていくと、違いは「階調」の幅に現れます
 「色」は現像によって近づけたり、変えることが簡単にできます。なのでこの両者の比較で「色」の好みを言っても、それは現像による「好み」の問題です。
 しかし、「階調」の違いは後での現像での調節がとても困難です。両者を見比べてみると、左のJpegカットの方が青空の色の階調の幅が豊富なのが判るかと思います。そしてそれなのに、白い雪の階調が飛んでいないことにも気づかれると思います。雪部分はRAWの方は露出もコントロールしているので、明るく見えていますが、Jpegの方もこれにしたければカメラ内RAW現像すれば同じように明るくできます。
 私は富士のXシリーズのJpegのこの「階調」を高く評価しているのです。色は数字でコントロールできるような訓練をしていれば、記憶色の青空を作ることはそれほど難しいことではありません。製版の人なら誰でもできることで、実際に印刷データーのCMYKに変える時にはその作業が頻繁に行われています。
 しかし、この富士のJpegの「階調」を後から作り出すことは困難なのです。この階調さえ出ていれば、万が一「色」が好みでなくても、このJpegデーターの色相をいじればすぐに好みの色が「階調が出たまま」作れます。しかしそれを階調が出ていないRAWからのカットでは作れません。8bitとか16bitとかの問題よりも、私が現実に目の前にある絵の階調を選んで、富士のJpegを利用するわけです。
 また私は製版の方から教わった経験が多少あるので、写真集の印刷データーのCMYK変換を自分で行うことが多くあります。その際に、今まででしたら右のRAWからのカットを、製版用CMYKソフトを用いて記憶色に変えていました。その際には色はCMYKの数字で見ながら目標値に近づけていきます。しかし、そこで問題なのが、いつも似たような色にしてしまうという問題なのです。自分の中に持っている記憶色のパターンの数が少ないので、それの使い回しで作ってしまうので、空の色が本の中で似てしまうのです。また「階調」はこの富士のJpegのようには出せません。
 富士のJpegの凄いのはCMYK変換するとさらに判ります。色域を縮める時に元データーの階調がきちんと出ていると、階調が豊富なままCMYKに変えられます。
 これらが私が富士のJpegを好む理由です。「色」ではなく「階調」なのです。
 しかし、これは私の好みの問題です。JpegかRAWのどちらかの善し悪しではありません。あくまでも私がJpegを使う理由です。それが正しいかどうかでもありません。作業効率も含めた「好み」です。

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コメント

この青たまらないです

小原さんはプロカメラマンの中でもかなり製版よりのこと分かっている方なんですね
プロの方でもほとんどはRGBデータをそのまま渡すだけだと思っていました
いただくデータをCMYK変換すると、RGBの時とは明らかにくすんだような色になるんですよね

印刷ではCMYKだけで金や銀もつくりださないといけないのでけっこう大変です

こういう話し大変興味あります、またお願いします

投稿: 哲☆平 | 2013年12月11日 (水) 13時21分

哲☆平さん
 はい、私は最初にデジタルを使った写真集が「螢 -Light of a Firefly」(ワニブックス)だったのですが、当時はまだ印刷会社がRGBデータのプロファイルを外して処理していたような時代です。当然写真家の意図と仕上がりが違って苦労しました。
 製版の現場まで行ってモニターを一緒に見せてもらったり、印刷立ち会いでのインクの盛りの調整で、最終的に形になりましたが、なんでこんなに苦労しないといけないのだろうというのが、最初のデジタル体験だったのです。
 でも今から見れば良く判ります。カットによってはモニタでは再現できない色だったりしたわけです。それを一生懸命データーいじっていたのですから、とんでもないデーターを作っていたと思います。
 で、その反省で覚えたのがCMYKを自分で作ってしまうことです。それなら自分で最後まで責任が持てます。その際には色々数字で色を覚えることを教わりました。
 このあたりの話また書きますね。

投稿: 小原玲 | 2013年12月11日 (水) 14時51分

現在フジのデジカメといえば小原玲さん?のようなので
厚かましくも場違いの質問を一つ。

私のデジカメ歴は浅くEPSONのEP600?ニコンCOOLPIX800を買った後は、フジのF11(これは名機だと思ってます)、F30fd、F31fdと立て続けに使っていました。それ以降完全にフジから離れてしまったのですが、ここへ来てX10(安い!)、X20、XF1とコンパクトデジカメ欲しい病にかかりました。

もしかして小原さんなら詳しいかも?と思い失礼ながらご意見を伺えたらうれしいなと思い書き込みさせていただきました。

投稿: もっつぁ | 2013年12月11日 (水) 20時01分

もっつぁさん
 そうなんです。X10は今とてもお買い得なカメラになっていますね。性能から考えたら、とても信じられないような値段です。同じセンサーを使用しているXF1もいいカメラです。私はとても好きなデザインです。
 X20はこれらよりもセンサーが進歩しているので、さらに良い写りです。
 これら3機種とも写りに関しては、侮れないカメラですね。

投稿: 小原玲 | 2013年12月11日 (水) 23時18分

FUJIのカメラの高感度に僕も魅力を感じています。ただ所有はしてません。
他社カメラでAPS-C ISO12800を常用感度として使っている者です。

RAWとの相性という意味でadobeだけでRAW全てを語るのは、どうでしょうか?
FUJIのX-Trans CMOSは特殊な配置のセンサで、
一般的なセンサ向けの汎用のadobeは、生かしきれないのではないでしょうか?

RAWの魅力は選択肢の多さであり、進化であると思います。
昔撮った写真でも新しいエンジンで現像できる。
2013年時点では最高であっても、2014年には、もっと凄いエンジンが開発されるかもしれない。
小原玲さんが全ての写真をFUJIで撮り直ししたいとおっしゃってました。
RAW撮りしておけばCANONのカメラをFUJIで現像は無理ですが、
次世代エンジンと進化した自分で現像できます。

それとX-Trans CMOS向けにまじめに取り組んでいる汎用の現像ソフトは半純正のSILKEYPIXと
Capture Oneだけじゃないのでしょうか?

色味はかなり異なるけど、Capture OneとFUJIのJPEGの比較をして欲しいなぁって思いました。

投稿: おーくてぃ | 2013年12月13日 (金) 07時25分

おーくてぃさん
 基本的には富士のJpegの凄さは、RAW現像ソフトでできる各種の調節の範囲を超えているからなので、他のソフトでもそう違いは大きくないと思います。「フィルムシミュレーション」が反映されたソフトは現状はないわけですので。
 私も現在は撮影自体はRAW+Jpegで行っています。スポーツは除きますが。主に露出の間違いはどうしても起こるので、それは「カメラ内RAW現像」で撮影後に調節します。
 それの方がスピードが遥かに早いので。
 

投稿: 小原玲 | 2013年12月13日 (金) 08時56分

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