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2014年1月16日 (木)

カナダのアザラシ取材に持って行くカメラ

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 ちょうど質問があったのと、私もそろそろ準備を考え出す時期なので記事にしました。次の海外撮影取材(カナダのアザラシの赤ちゃん)に持って行く機材の予定案です。飛行機の機内持ち込みは1つにして身軽にするつもりです。バッグはDONKE F2の予定です。
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 ざっとこのバックにこれだけ入ります。ボディ3台、レンズ10本です。14,18, 23, 27, 35, 60, 18-55, 16-50, 55-200と後の長いレンズはライカRのテリート400mmF6.8ですが、今回はこれではなくBORG71FLを持って行く予定です。写りは銘レンズのテリートよりBORGの方がさらにいいですから。
 これにMacbook Airの11inchも入りますので、それが最重要な機内持ち込み手荷物になります。またこの写真の他に愛用の手袋は機内持ち込み手荷物に入れます。それがないと仕事ができなくなるという最小限のものは、必ず機内持ち込みです。
 機内持ち込みをもうちょっと大きなバッグにすることや、2個の分けることもできるのですが、それだと疲れがすごいのと、移動のモントリオールーマドレーヌ島の飛行機の機体が小さいので、手荷物があまり入りません。すると搭乗タラップで乗務員に指示されて荷物室に移されてしまいますので、足下のスペースに入るサイズにします。
 実際の撮影ではこれを全部は持って行きません。日によってレンズを選びます。が、毎日欠かさないのは14mmF2.8, 35mm/F1.4+NDフィルター, 55-200mmの3本だと思います。というかこのボディ2台とこのレンズセットだけで身軽に動き回って撮りたいです。14mmの代わりにサムヤン7.5mm/3.5+TOM SHOT 360もありかと思っています。ヘリコプターの荷室に少しだけこのような他のレンズや衛星電話なども置いておきます。
 その他チェックイン機材で、スペアのカメラボディや、お遊び心で使うカメラ類を持って行きます。
 ざっとX-A1ホワイト+Wズーム、XQ1+防水ケース、予備のXボディ2台、予備の最重要レンズXF35, XF55-200などが預け荷物に入ると思います。これらはスーツケースではなく、小さなハードケースに入れてから、大きなソフトケースに入れることで、乱雑に扱われるのを避けようと思っています。大型ハードケースは空港でまず投げられますから。
 地球温暖化で流氷が薄くなっていて、氷が割れて水没するということがまったくないわけではありません。私は氷の上での移動に防水ケースを使っています。万が一水没してぶら下げていたカメラをすべてダメにしても、ホテルに別のセットがあるように準備していきます。
 年によっては折りたたみカヤックを持っていたりしたこともあるのですが、今年のマイブームは初めて流氷の上でXF55-200ズームでAFでアザラシの写真が撮れるので、それを満喫することになるかと思います。
 あっ、あともちろんアザラシの赤ちゃんとX-A1ホワイトの「似合うんです」はやってきます。

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コメント

これだけの機材がこんな小さなバックに収まるなんてすごいです。
これがニコンのセットだと思うとぞっとします。
その場で感動したらさっとシャッターを押す。
このコンパクトなセットなら気持ちが削がれないですよね。

機内の預け荷物が放り投げられるなんて考えも付きませんでした。
貴重な情報ありがとうございます。
ニコンのナノレンズについて以前調べました。
ニコンのナノクリスタルコートは
「通常のニコンのマルチコートによる面反射率は、0.5%。ナノだと0.2%。」
「そのレンズ構成の中の一部分にだけしている」
ニコンスーパーインテグレーテッドコーティングとナノクリスタルコーティングを組み合わせ0.2%を達成。
フジのコーテイングは?
HT-EBC(High Transmittance Electron Beam Coating)
これをすべての構成レンズに施している。
今までのスーパーEBCコートは波長400~700nmでの低反射。
HT-EBCは波長380~780nmと低反射。
HT-EBCは、高い透過率(99.8%)・低い反射率(0.2%)を広い波長域で実現
「優れたHT-EBCは すべのレンズ面にコートを施すことが可能なためレンズ全体を通じて高い透過率を実現」

みなさんあまり知りませんが、調べるとこんな結果です。
ニコンは構成レンズの一部の片面だけにナノコーティング。
フジは全面。
そして面反射率0.2%を達成。
ナノレンズと同格です。なのにこの安さ。
XシリーズのFujiのレンズのすごさをもっと知ってほしいです。
ついでに言うと、フジの専用フィルターもすごいんです。
面反射率を0.3%以下に抑えている
レンズを構成しているすべてのガラスにスーパーEBCを施している
フジの専用フィルターは0.3%以下。

もっとそのすごさを知ってほしいです。

投稿: うら | 2014年1月16日 (木) 11時12分

とても勉強になる記事をありがとうございます。

記事を読んでとても考え抜かれたシステムということが良く分かりました。
フルサイズのカメラだと、さらに大きく重くなりますから、体に無理をするか、レンズや機材を妥協しないといけなくなるんですね。

ちなみにこの一式を詰め込んだバッグは何キロぐらいの重量になるのでしょうか?

投稿: さんちゃん | 2014年1月16日 (木) 14時37分

なるほど! 小さなハードケースを大きなソフトケースに入れれば、少し安心ですね。一つ勉強になりました。
それにしてもF2にこれだけ入ってしまうんですね。ん? このうちの2台は大黒様のお告げの品に入れ代わるのでしょうか?(^^)

投稿: 2800rpm | 2014年1月16日 (木) 17時50分

氷がはってアザラシの赤ちゃんが休める氷がある時期に出産すると言うのも生命の神秘ですよね。もしこのまま温暖化が進めばアザラシは何処で出産したら良いのでしょうね。人間のがめつさに頭にきます!!

投稿: たこ人間 | 2014年1月16日 (木) 20時23分

「大は小を兼ねる」と最初に言ったのが誰かは知らないけれど、
この実例を見たら「小は大を兼ねる」が正しいことに。
予備を含めてこの体積ですから、それだけでも革命的!
普通の撮影ならかなりコンパクトに。
フットワークが軽くなれば、その分可能性が広がりますね。

投稿: hironeko | 2014年1月16日 (木) 22時10分

初めてコメントさせて頂きます。

DONKEって未だに人気ありますが、最近の電子機器そのもののデジカメにはどうなのですか?防水性やクッション性は最新の素材に劣る帆布ですが、プロの方はどういった理由で今も使われるのでしょうか?特別なこだわりがあるのでしょうか?

X-E2の日帰り用にモンベルの250gショルダーを購入して軽くて嬉しがっている自分です。

投稿: 千兵衛 | 2014年1月16日 (木) 23時52分

こんばんは。さすがにプロ仕事。リスク対策を考えて想像以上に機材選定に神経を使われているのですね。過去の記事の手袋選定や防水バッグへのこだわりも大変興味深かったです。実際下半身が水没されていましたよね!日頃でのブログの機材紹介やテスト撮影も自然相手に限られた貴重な時間をいかにムダなく気持ちの伝わる写真を掴むかの準備期間なのだと改めて感じました。水没時の予備カメラも考えれば、メーカーへのカメラを切望する気持ちがよく分かりますし、こうした撮影経験が良い開発方針に繋がる事も。「似合うんです」の傑作を期待します!(って違いますか)

投稿: もやし | 2014年1月16日 (木) 23時55分

3年越しの思いを遂に今年叶える事ができそうです。
セントローレンス湾の流氷分布図を見てその日が近づいて来たと喜んでいますが厳しい自然の中で生き抜く動物を見に行く事が少し怖くなりました。
何時までもこの様な光景が続く事を願うばかりです。
機材の35㎜だけ+NDフィルターとありましたがどの様な時に利用されているのでしょうか。
かわいいとばかり思っていましたが色が少なく撮影が不安になってきました。
多分フライト1回だけになると思いますので撮影方法で教えて頂ける事があれば嬉しいです。
他社一眼レフ歴よっこらしょと3年目です。
35㎜カメラと16-35F2.8、24-105F4、70-200F2.8持って撮影予定です(全財産)。
また三脚は必要ですか?
宜しくお願い致します。

投稿: よっこらしょ | 2014年1月17日 (金) 00時13分

うらさん
 最近北米の航空会社では雇用者が腰を痛めないよう、ハードケースを積む時に投げるように扱っていますね。それがスタンダードかどうかはともかく、その光景を見たら機材を預けるのは覚悟要りますね。
 私も中の機材(GPS,カメラ)の液晶が壊れているのを経験しています。
 富士のコーティングは素晴らしいですね。フィルター高いけれど意味あります。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 07時52分

さんちゃん さん
 今年詰めた時に計ってみますね。来月までお待ちを。
 でもまあ運べる重量です。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 07時53分

2800rpm さん
 私の出発が来月末なのですが、もし噂の機種が間に合っていれば当然それを2台になります。間に合っていなければX-E2を2台にします。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 07時55分

たこ人間 さん
 長い期間かけて陸上で出産するように変わる可能性はないわけではありませんが、まだそのような例を確認されていません。
 それは日本のゴマフアザラシでも可能性があります。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 07時56分

hironeko さん
 一眼レフの場合には大三元と100-400L入れたら、もう他のレンズを運ぶのは困難でした。ボディもハンドキャリーは1台がせいぜいでした。
 数年前までは北米は32kgx2の預け荷物ができたのですが、今は23kgx2なので、それも困りものです。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 07時58分

千兵衛さん
 DONKEって私のような海外のメディアで働く者が最初に使い出したんです。Jim Donkeさんという報道カメラマンが作ったバッグですね。
 それを日本のお店で見せびらかしていたら、輸入が決まりました。一般の人が持つようになって、逆に私たちはつまらなくなって、しばらく使うのを止めていたのですが、ブームが一段落し、私はまた使い出しました。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 08時01分

もやし さん
 はい、私は今までに3回ぐらい水没、ダメにしたカメラは2台+レンズ2本ですね。最近は体が落ちてもカメラを投げる余裕があります。
 一昨年は体が落ちたけれどライカS2を手を上げて救ったフランス人がいました。もう一台のEOSは水没。
 似合うんです。頑張ってきます。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 08時03分

よっこらしょ さん
 富士のレンズは開放から安心して使えるので、開けてつかうためにNDを持って行きます。これは動画を撮る際に絞りすぎないためにも必要です。
 動画で超広角でISO200 1/60 だとF22とかになってしまうと、フィルター面の汚れまで写ってしまいます。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 08時06分

よっこらしょさん 
 追伸:三脚は流氷の上ではなくてもいいかと思います。三脚があると氷を確認するストックを持ちにくくなります。ただ外国人とかは三脚好きで、もって行っていますね。
 アザラシの流氷は歩きにくいので、実は身軽なのが一番いい写真を撮ります。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 08時09分

早速記事にしていただきありがとうございました。
機材をおなかに預けずに、機内持ち込みにしているのは意外でした。
とても参考になりました。ありがとうございます。
望遠は富士のラインナップで一番弱いところですね。
今後もいいレンズが出てくる事を期待します。

氷の上では防水ケースを使っているんですね。自作でしょうか。市販では膿に落ちたときに耐えられそうなケースはなさそうですしね。防湿用のケースもかさばりますが、以外と使えそうですね。

投稿: レオ | 2014年1月17日 (金) 12時51分

すごい、F2にこれだけ入るのですね。

私は、アメリカにいたころロッキーの撮影に飛行機を乗り継ぐのですが、67と35ミリ判の両方をタムラックのザックやリュックに入れていって、熊よりもこわもてのキャンビンアテンダントに、こんなものを持ち込むなと、大騒ぎになったことを覚えています。
もちろん、手荷物で預けようものなら、確実に壊されます。

F2にこれだけ収まれば、最小限必要な機材は守れますね。

ミラーレスの良さ、って、こういうところにもはっきり表れますね。

携帯性とは別に、最近、気づいたのが、ネットで見る低価格一眼レフのピント調整の話。
組立精度が低くなっているせいでしょうか、出荷時の精度が低くて、レンズからAFセンサーまでの距離とセンサー面との距離にずれがあり、調整が必要だという話があまりに多いのです。

低価格化しすぎて、検査工程を省力化したせいでしょうか。
センサー面で、測距するミラーレスには原理的に発生しない問題です。

投稿: くじら怪人 | 2014年1月17日 (金) 13時39分

レオさん
 氷の上ではペリカンケースを使っています。
 あれなら海に落ちても大丈夫です。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 17時55分

くじら怪人さん
 最近一眼レフのAFをメーカーのプロサービスではなく、プロ専門の有償修理サービスに調整依頼するプロが増えました。メーカーのプロサービスの調整の規格では不満ということです。
 でもこれでは困ったものです。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月17日 (金) 17時58分

電源回りについて教えて下さい。
X-Po1、X-E1、X-E2、を使ってアザラシやオーロラなどを撮影する場合、撮影現場にカメラ電池を1台当たり何個ぐらい用意して行くのでしょうか? そのときのカメラ1台当たりの合計電源ON時間はどのくらいになるのでしょうか? 充電器も同じ型のものを2、3台宿に置いておくのでしょうか? 野営するときもあると思いますが、そのときの充電はどうしていますか?
DCカプラーによる電源供給をすることもありますか?

投稿: 田中 | 2014年1月19日 (日) 00時02分

田中さん
 これはご興味あるかた多いと思いますので、後日記事にしますね。ただ色々メーカーも考えているようなので、ちょっと待ってください。
 はい、オーロラ撮影には知人に作ってもらった外部電源を使っています。問題は10Vや9V出しがついたリチウム電池が最近販売されなくなっていることです。
 アザラシは通常のままです。2、3個の予備で足りています。充電器は3台ぐらい持って行きますね。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年1月19日 (日) 06時22分

何時も貴重なエントリー有難うございます。感謝です。

一年に一度の、更に”出会い”はワンチャンスであろう撮影行。二重三重の準備。
「毎日欠かさないのは14mmF2.8, 35mm/F1.4+NDフィルター, 55-200mmの3本だと思います。というかこのボディ2台とこのレンズセットだけで身軽に動き回って撮りたいです。」
これは↑私たちアマチュアが求める最高の組み合わせになるのではないでしょうか!非常に勉強になりました。有難うございます。
「初めて流氷の上でXF55-200ズームでAFでアザラシの写真が撮れるので、それを満喫することになるかと思います」
チルトアングルモニター付き(X-T1?)で、軽快に撮影を楽しんでいる小原氏の姿が目に浮かびます。
可愛いアザラシ君達との良き”出会い”が有りますように(^^)/

投稿: 湖のそばで | 2014年1月19日 (日) 23時10分

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