« 富士フイルム本社でトークをさせていただきました | トップページ | 「革命への進化」が始まっています »

2014年1月 9日 (木)

プロ用一眼レフではこれが撮れなかった

1601442_646973875338570_196309112_n

 本日長野県志賀高原の地獄谷野猿公苑で撮影したニホンザルの親子です。私はこの場所に10年以上通っていますが、温泉に入るサルを撮ったカットの中では、マイベストショットだと思っています。
 日本人プロ動物写真家の私のベストだから、世界から多くのカメラマンが来るこの場所で、今まで撮られたすべてのカットの中でも、そうとう上の方だと思います。というか、他の写真家が過去に発表した写真もすべて含めて、My Most Favorite です。
 私は時々、X-A1はニコンD4やキヤノン1Dxを凌駕する写真を撮れる可能性があると書いていましたが、このカットで証明できるかと思います。
 かつて、カメラマンが大勢集まる場所で、私が使っていたカメラはその中で一番高価なセットでした。しかし、今日は違います。コンパクトデジカメを除けば、それらの中で一番安い方に近いカメラでした。
1513796_646947552007869_1179574127_
 でもとてもオシャレなのでサルの赤ちゃんも欲しがって見ていました。
 使っていたのはX-A1ホワイトに、XC50-230mm F4.5-6.7 OISです。ホワイトは限定品なのでちょっと高いですが、それ以外の色なら、X-A1のダブルズームレンズキットなら55,000円を切って販売されています。しかも1月14日までは5,000円のキャッシュバック中です。
 このカメラで撮っていると周囲はまったくプロカメラマンと思ってくれません。時々「記念写真撮るのに邪魔だからどいて」と言われます。以前のプロ用カメラを2台ぶら下げていた時には言われなかったのに。でもそれはサルから見ても同じでしょう。
 なんでもっと大きなカメラやレンズを持って来るカメラマンにはこれが撮れないのでしょうか?
 それは簡単です。サルの母子がそれらのカメラマンがいる時には、こういう表情をしないからです。このカットもサルがエサを食べに移動して、他のカメラマンもそれを追って移動したので撮れました。母子は周囲が静かになって安心してこの表情をしたのです。
 私のカメラのシャッタ−音は静かです。私はサルからも、プロカメラマンの大きな音を立てる人間たちに見えません。だから安心してこういう仕草や表情をしてくれるのです。それを引き込まないと、どんなに大きなカメラを持って来てもこれは撮れないのです。写真を撮るのに、カメラという光学機器や電子機器の数値性能だけ考えて選ぶとこういうことになります。
 肝心なのは「好き!」が写るかどうかなのです。Xシリーズなら再安価のX-A1とキットレンズでも「好き!」が写るんです。「写真文化を担う道具」が必要なんです。

|

« 富士フイルム本社でトークをさせていただきました | トップページ | 「革命への進化」が始まっています »

コメント

私の見たことある猿写真の中でもベスト1ですね。いやー良い写真だわ。

それまでのNo1はナショジオの表紙になった猿団子の写真でした。
http://nationalgeographic.jp/nng/magazine/0807/wallpaper/07.shtml

投稿: じゃいろ | 2014年1月10日 (金) 00時22分

じゃいろさん
 ありがとうございます。
 はい、私も正直ベスト1だと思っています。
 ナショジオの写真を撮った福田カメラマンのサルの写真集にも、岩合さんのサル写真集にも、これほど母子の愛情が雰囲気よく写っているカットはなかったと思っています。

投稿: 小原玲 | 2014年1月10日 (金) 01時59分

優しい表情ですね。ありがとうございます。

2枚目の解説。
子猿は、小原さんを群れのおじちゃん(仲良し)だと思ってるから、警戒せずに「ねぇこれなぁに?」と初めて見る変な物体を見ている。触りたいんだけど黒くてちょっと怖い、ドキドキ。。。(そんな気がします)

カメラマンの意識になると、撮る事に夢中になって獲物を狙う捕食者の気持ちになってしまう人が多いんですよね。それでは動物は警戒してしまうから撮れなくなるのに。仲良く一緒にたわむれる気持ちで撮ればいいのに。そう思います。
そして、小さく静かで警戒心を起こさせない機材も重要ですよね。

小原さんの最近のアザラシの赤ちゃんや、今日の写真には「嬉しい楽しい大好き」って気持ちが思いっきり現れていると思います。
多くの人には、あのように短時間で動物と信頼関係を作るのは無理です。それに、気持ちの関係がわからない人も多いと感じます。
私も偉そうな事を書いてますが、実際の現場ではできません。

カメラマンが捕食者の気持ちになるか、仲良しの気持ちになるか、カメラに影響される割合が意外と大きいと思います。

X-A1で、これからどんな写真を撮るかは自分次第ですね(^^;

投稿: (^・^) | 2014年1月10日 (金) 06時10分

(^・^)さん
 ありがとうございます。
 はい、まさに私もそう思っています。特に昨日撮ったこの写真は、私に一眼レフの大処分を決めさせました。ズームレンズ2本ついて5万円のカメラが、一眼レフのシステムの処分を決めさせたという形です。

投稿: 小原玲 | 2014年1月10日 (金) 06時15分

一般とは異なる高いレベルのお写真ですが、わたしが訴えたことを証明していただき有り難うございます。
息子の友達は週末、ききとして列車を撮りに出掛けています。彼は列車が大好きなようです。駅の片隅でおこづかいで買ったのかなまたはお父さんのお古をもらったのか、普通のカメラで楽しそうに車両を撮るお子さんをみかけると嬉しくなります。
私の場合、毎年家族でいく場所がありそこの風景とひとびとを楽しくきれいに写すのが目標のひとつです。
サル確実におはらさんを信頼しているのだと思いますs、そこに描写することの原点を見る思いです。

投稿: ななし | 2014年1月10日 (金) 09時21分

素敵な写真に感激しました。
薄々感じてはいましたが、今までは他の人から凄い!と思われるような写真を目指していましたが、それよりも大切な物がある事に気づかせていただきました。

X-A1も良いカメラですよね。
Xシリーズのカメラを買う度に、当たりくじを引かせてもらっている思いです。
なんで皆これを買わないの?!と真面目に思ってしまいます。(笑)

投稿: カメラくん | 2014年1月10日 (金) 10時28分

確かに素晴らしい写真ですが、これが撮れたから一眼レフは不要というのはあまりにも話が飛躍し過ぎて、意味不明な論理展開だと思います。
このコメント欄には富士の工作員の方も定期的に書き込みされてるようですが、そういう馴れ合いというかサクラ商法は、一般人的にはドン引きですね。

投稿: チャールズ | 2014年1月10日 (金) 21時19分

確かに前ピンだけど素晴らしい

投稿: 名乗るほどでは無い | 2014年1月10日 (金) 21時25分

うわぁ、心底リラックスしていて温泉に浸かってますね。
他所行きのすまし顔ではなく、「コタツでみかん」みたいな表情に見ているこちらも心温まります。

以前、大きなデジタル一眼レフを使っていた頃、猫を「バシャコン!」と
撮ったら「フギャ!」と驚いてピュ~ッと逃げました。εεε(=①Д①=)
また中国の田舎で風景などを撮ろうすると近くにいた爺ちゃん婆ちゃんに
新聞記者か?政府の調査か?と訊かれ、怪訝な顔で避けられてしまいます。
カメラに慣れていない動物や人は大きいカメラを向けられると必要以上に
警戒してしまうんですね。
一眼レフをやめてレンジファインダーにしてからは猫が寄ってきたり、
爺ちゃん婆ちゃんが「你是那里来的?」(どっから来たの?」と話しかけられるようになりました。

投稿: hironeko | 2014年1月10日 (金) 21時30分

はっきり言って、今の時代に出てる一定程度以上のカメラって、そんな大差あるんですか?
弘法筆を選ばず。
カメラやレンズなんて所詮はツールであり、その時その場にいることが重要であり、その瞬間を逃さないその人の感性、意思の強さ、決断力があって、構図や光の加減、位置取り、それらがあってこそだと思いますね。
このカメラでないと撮れないというのは、寧ろ腕がないということの証左であり、表現とはツールで誤魔化すようなものではないと思います。
この猿の写真は素敵ですが、小原さんであれば、5DMk3でもKissX7でも結果は同じに満足されたと思います。

投稿: メークドラマ | 2014年1月10日 (金) 21時33分

質?はともかく、画角と実焦点距離の違いはフォーマットが異なれば別物w
比較する事自体ナンセンス

投稿: 名乗るほどでは無い | 2014年1月10日 (金) 21時42分

こんばんは。お猿さんのやさしい表情が繊細でふわっとした毛髪と共に大変柔らかく写っていますね。温かい雰囲気、その場の空気も感じられますね。X-E1でシャッターを押す時の静かな音や主張しすぎない大きさもその場の雰囲気を壊さない大きな要因なのですよね。野鳥撮影でも隣で高級な大型カメラの大きなシャッター音で連続撮影されないような、公園ではない静かな場所で撮影した方が、野鳥の自然なお気に入りの写真が撮れる事が多い気がしています。ちょっとした表情で警戒心が写真の中に感じられるのです。

投稿: もやし | 2014年1月10日 (金) 22時06分

ななしさん
 ありがとうございます。10年以上通って、いかにサルに警戒させないかが、これほど大事だとういうことに気付きました。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時00分

カメラくん さん
 X-A1はとても侮れないですね。ちょっとコツさえ掴めばこれだけでも十分撮れてしまいます。
 コツはAFの枠を広めに使うことでした。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時01分

チャールズ さん
 お疲れさまです。
 工作員という方々を用意する余裕は、宣伝費が少ない富士さんの場合ありえません。そこが大メーカーと違うところですね。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時03分

名乗るほどでは無い
 お疲れさまです。
 拡大してみても前ピンとは気付きませんでした。
 ご指摘ありがとうございます。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時04分

hironekoさん
 多分ライカというカメラはそうやって実際に写真を撮っていた人が作ったんでしょうね。大きなカメラでは写らないものに気付いた人が。
 「こたつみかん」のたとえ、とても嬉しいです。ありがとうございます。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時06分

メークドラマさん
 私は筆を選びます。
 カメラという機能は似たり寄ったりですが、感動を写すという「写真文化を担う道具」は、ここのXとライカしかありません。ライカは仕事で使える値段ではないのでこれを選びます。ライカとXなら確かにどちらでも撮れたかもしれません。
 5Dmk3は今までmark2を使っていましたが、撮れていません。kiss7なら撮れるかもしれませんが、描写が私を満足させません。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時10分

名乗るほどでは無いさん
 お疲れさまです。
 私が比較している「画質」とか「描写」は、それではなく、「感動が伝わるか」どうかが基準です。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時11分

もやしさん
 はい、モデルさんの撮影会で、モデルさんがこういう表情をしてくれないのと同じだと思います。
 サルも大勢カメラマンがいて、バチャバチャ大きな音を立てて撮っているのを好んでなかったんだなあと、やっと判りました。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 07時13分

プロカメラマン、いやプロ写真家が自画自賛するのは恥ずかしいですね。そう思っていても、謙遜するのが大人の日本人です。写真は見る人によって、いいとも悪いとも言えますが、自画自賛はいちばん恥ずかしいことですよ。

投稿: 甘茶 | 2014年1月11日 (土) 07時19分

甘茶 さん
 ご苦労様です。
 「好き」なものを「好き」と声にすることが大事と私は、常々語っていますので。この写真が一番「好き」なのです。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 08時33分

ほっこりするおサルの写真ですね。
是非世界的なコンテストに出して頂きたいです!
それで全てが分かるわけですから!

投稿: かーる | 2014年1月11日 (土) 09時55分

 こちらの気持ちまであったかくなる素晴らしい一枚です。
‘好き‘なカメラで‘好き‘なものを撮るから‘好き‘が写る。
小原さんが日頃からおっしゃっていることがこの一枚から伝わってきます。
 残念ながら私はまだ好きなカメラに出会えていないので、いつかめぐり会いたいですね。

投稿: さんちゃん | 2014年1月11日 (土) 10時19分

度々ありがとうございます。
X-A1は買ったばかりなので、まだあまり撮影は出来ていないのですが、AF枠はてっきり狭くした方が良いのかと思っていました。
AFについてはネットで色々見ていたので、参考になります。
広めにして試してみたいと思います。(^^ゞ
また、他の機種もこれは同じでしょうか?X20でも試してみます。

投稿: カメラくん | 2014年1月11日 (土) 10時26分

< 写真で一番大切なのは、好きなものにカメラを向けることです。技術解説で必要なのは、被写界深度の知識と、撮影時のカメラ位置の高さの上下ぐらいです。後はとにかく好きなものにカメラを向けること、それが一番大事です。その感性さえあれば技術は必ず付いてきます。

霧中で撮ってる時は何も考えてませんが、ふと迷いが出た時は、この言葉を思い出しています。
この優しい猿の親子。写真は”撮る人をも同時に写して”いますね。それが全てだと思います。

 とは言え、この時の”写真家”のルーティンも知りたい!教えて下さい。
ピントは何処に入れてますか?AFですか?”A1のポイントはAF枠を広く取る事”と有りますが、フレキシブルピンポイント枠を広く(大きく)することですか?この時も”広く”して撮られたのでしょうか?”広く”するとどのように良いのでしょうか?(この時の焦点距離、SS、F値、この時に一番気を付けたこと。も是非)

 又、”一眼システムを全て処分する事を決めさせた一枚”
A1システムにするということなのでしょうか?それともこれから直ぐ出るであろうミラーレスシステムに統一するという事なのでしょうか?

 自分の事で恐縮ですが、ズームを使う場合はA1の大きさでも可。でも標準、広角を使うときにはPro1の大きさがベストですが、先生は如何でしょうか?

質問ばかりで、スミマセン。馬鹿な質問でしょうが宜しくお願いします。

投稿: 湖のそばで | 2014年1月11日 (土) 11時45分

>湖のそばでさん
質問数も多く、内容が簡単でないので、本当に聞きたいならアポを取って聞くのが筋ではないでしょうか?

投稿: おk | 2014年1月11日 (土) 14時01分

>確かに素晴らしい写真ですが、これが撮れたから一眼レフは不要というのはあまりにも話が飛躍し過ぎて、意味不明な論理展開だと思います。
このコメント欄には富士の工作員の方も定期的に書き込みされてるようですが、そういう馴れ合いというかサクラ商法は、一般人的にはドン引きですね。
                  チャールズ

私(チャールズ)の偽物まで出るんだ。でもアカウントを添付しているので、小原さんには偽チャールズと言う事が分かってしまうと思うのですが…。他人になりすました、アラシ行為はみっともないですよ( ´艸`)

投稿: チャールズ | 2014年1月11日 (土) 14時11分

かーるさん
私はLIFEの総集号に載っても、自分の無念さが残った経験から、人に感動を伝えることを第一に考えています。なので雑誌掲載などの前にこうして、ブログで発表してしまいます。名誉よりも何よりも喜んでくれる人がいることが一番です。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 18時32分

さんちゃんさん
はい。好きというキーワードに素直になることで、この写真が撮れました。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 18時33分

カメラくんさん
広くすることで、グッと迷いにくくなります。それがコントラストAFの特徴です。合いさえすれば精度は高いです。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 18時35分

湖のそばでさん
了解しました。近日中に記事にしますね。ちょっとだけお待ちを。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 18時37分

おkさん
大丈夫ですよ。せっかくブログで総合交流できるのですから、答えられる時には答えて行こうと思っています。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 18時38分

チャールズさん
やはりニセモノさんがいたのですね。残念な方ですね。
これにめげずに、これからもよろしくお願いします。
いつもありがとうございます。

投稿: 小原玲 | 2014年1月11日 (土) 18時40分

大黒様が持ってた新しいシステムに興奮し過ぎ、失礼しました。
もし許されるなら一つだけ。”AFエリアを広く”すると、どうゆう点が良くなるのか?教えて頂けたら有り難いです。

PS 小原様、有難うございます。お忙しい処、何時も丁寧なレスを頂き、本当に感謝しております。

投稿: 湖のそばで | 2014年1月11日 (土) 20時26分

またまた、失礼しました。もうご返答が有ったのですね。
コメ欄汚し、お許しください。

投稿: 湖のそばで | 2014年1月11日 (土) 20時28分

湖のそばでさん
 コントラストAFはその範囲のコントラストの比較でピントを合わせますから、範囲が広い程、カメラがコントラストを見やすくなります。なのでカメラがピントを合わせにくい時には、AFエリアを広くしてあげるのが一番解決します。
 すると狙ったところに合いにくくなるのではと思う方が多いのですが、真ん中に狙ったものを入れていれば、まあ大丈夫です。それよりも位相差AFより精度の高さがありますので。
 位相差センサーは広く/狭くしてもあまりスピードは変わりませんが、狭くした方が精度が上がります。

投稿: 小原玲 | 2014年1月12日 (日) 08時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: プロ用一眼レフではこれが撮れなかった:

« 富士フイルム本社でトークをさせていただきました | トップページ | 「革命への進化」が始まっています »