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2014年2月 2日 (日)

米国人フォトジャーナリストがタイの暴動で撃たれました

James_3

 撃たれたジャーナリストはJames  Nachtweyさんです。私が現役の報道カメラマンだった頃に、「この人にだけはかなわない」と思った唯一の人です。25年前の当時からTimeとNational Geographicの専属契約カメラマンという、報道カメラマンの最高峰の方でした。
 湾岸戦争時のパレスチナや、日本で同じ現場を踏んでいます。日本では昭和天皇が病気の頃に渋谷でデモ行進の取材でかち合いました。生意気な若造だった私はNachtwey 氏だけには負けたくないと、張り合いモード満帆で押し合いへし合いしていました。ほとんどすべての場所撮りで私が勝っていたと思います。
 ところが、そのデモで一番参加者の表情が盛り上がった時、Nachtwey氏がススッと私の前に入り込み、一番ベストのポジションで写真を撮り出しました。そこからはどんなに押そうが引っ張ろうがダメです。完全に撮影位置で負けました。彼はしっかりこれを狙っていたんだなあと、しみじみ敗北感を持ちました。まだ私が20代後半の頃です。
 一緒に食事をしたこともあります。私の知人女性と彼が、同じ現場が長かったため親しく、パレスチナのAmerican Colony Hotelのレストランで、彼のガールフレンドと4人で食事したことがあります。彼はとても紳士的に振る舞っていて、報道カメラマンというとヤクザな猛者しか見たことがない私はビックリしたものです。
 そのホテルはアラブ側ととイスラエル側の境界付近に立つホテルなので、中立の立場のジャーナリストの定宿だったのです。日本人新聞記者とかは怖くてだいたいイスラエル側のヒルトンとかにいたものですが。
 記事では大事にいたらなかったこととのことで、ほっとしています。
 私が張り合っていた頃の彼はニコンの小さめのボディに単玉をつけていましたが、今は5Dmak3?に標準ズームのようですね。もう歳なのだから、もうちょっと軽い機材で撮りたいはずです。そんなカメラが絶対求められています。
 ところで私の「Deeds of War」昔、カメラマン志望の若者に貸したまま返って来ない、これ見てたら返してね。

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コメント

ナックウェイさん、左足を撃たれた様ですが大事に至らず良かったですね。フォトジャーナリストとして最も辛いのは、他の誰かの悲劇で得をしているということだけど、個人的野心を優先することは魂を売り渡すこと。人を思いやれば人から受け入れられるし、その心がある限り私は私を受け入れられる。というような自己との葛藤のコメント(正確ではないと思います)を読んだことがあります。記事では30年以上TIMEの契約写真家なのですね。中東での一眼レフ使用規制などありますが、武器と間違えられてしまったのでしょうか。。小原さんが以前おっしゃったようにNikonV2なんかですとレンジファインダー型同様周囲も見えて中望遠も使えて通常の報道では良さそうですが世界へ発信される画質へのこだわりもあるでしょうし。。。

投稿: もやし | 2014年2月 2日 (日) 17時39分

もやしさん
 彼がいうとほんと言葉に重みがあります。報道写真家の仕事は「自己との葛藤」なんです。一番楽なのは魂を売り渡してしまうこと、ロバート・キャパなんかは著書にはっきりそう書いています。他人の不幸でメシを食っているんだと。
 それができない写真家はたえず葛藤します。
 でも人が不幸なほどお金になるわけです。とっても矛盾があるわけであって、その葛藤を考えることはとても辛いです。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年2月 2日 (日) 23時39分

小原さん

他人の不幸で……確かにそうなんでしょうけど、
でも、何かを伝えようとする強い強い意志がなければできない仕事だと思います。

投稿: hironeko | 2014年2月 3日 (月) 22時57分

Time Lightboxの2011年の写真集にあるNatchweyさんの写真は本当にすばらしいです.風景を切り取っているだけなのですが必要なものは全て詰まっている.そんな写真でした.また2013年のTaslima Akhterさんによるバングラデッシュの写真は恐らく100年後にも残るshotです.誤解を恐れずに言えば,Photojournalistの仕事というのは,読者が普段「自分には関係ない」と思っている世界の現実を見せつけ,行動(思考も含めて)につなげるものなのでしょう.ですから,バイアスや宗教的価値観からFreeであってほしいです.

投稿: ぐるぴん | 2014年2月 4日 (火) 09時16分

hironekoさん
 はい、伝える意志と被写体への想いがないとできないですね。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年2月 5日 (水) 01時51分

ぐるぴん さん
 はい、それらの写真はほんと歴史に残すべき写真ですね。
 フォロジャーナリストにとって今は決して楽な時代ではなく、みな媒体が少なくて、アサイメントも得られずカツカツでやっています。それはナクトウェイさんのような大御所でもそうだと思います。
 そんななかいい仕事を残していますね。

投稿: 小原玲/Rei Ohara | 2014年2月 5日 (水) 01時53分

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