2008年12月23日 (火)

スノーモンキー写真展

Monky
志賀高原ロマン美術館で行われている「スノーモンキー写真展 ー雪の谷のサルたちー」に4点写真を出品しています。
 先に書いた越前鳥の子紙(三椏)にプリントしたものです。
 おそらく他の出品者の写真と比べると鮮やかさに見劣りがあるかと思うのですが、紙がもたらす風格は一段とあるのではと思っています。志賀高原方面にお越しの際には是非お立ち寄り下さい。

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2008年12月 9日 (火)

越前鳥の子紙

 久しぶりに紙の話題です。その後も私の紙への追求は続いていました。
 葉書サイズぐらいなら自分でも使える紙が漉けるようにはなっていましたが、大きなサイズになるととたんに下手くそになります。どこかにいい紙がないかなと思っていたら、私の中性紙がないことに悩むブログを見た和紙職人さんから、何点かのサンプルをご提供いただきました。
 その紙が素晴らしいこと、素晴らしいこと。
 実は私が求めていたものそのものといっていい紙でした.天然素材だけで作られた本物の中性紙です。アルカリを加えて無理矢理中性紙にした紙とは違います。そして表面の艶が素晴らしい。一目て印刷適正が高いことが伺われます。なんの薬品も塗布していないのに、インクジェットで十分使えます。日本のお札の元となった越前局紙の技法で表面の平面性がいいのです。何もつまらない薬品塗りたくらなくたって、この方法で十分いい印刷ができることは昔から判っていたのです。
 越前鳥の子紙の職人として有名な故梅田太士さんが漉かれたものでした。
 遺作の国産天然の雁皮紙も何枚か購入させていただきました。触るだけで気持ちが和らぐ素晴らしい紙です。使う時には襟を正して使いたくなるような美しい紙です。
 さすがに雁皮紙は貴重すぎて自分の保存用に用いますが、国産三椏紙は少し多く入手できました。この三椏紙がまた雁皮に劣らず美しい。今後私のオリジナルプリントはこの紙をメインに使おうと思っています。世界に誇れる日本の紙製品です。
 それでも、インクジェットコーティングされた専用紙に比べると鮮やかさは見劣りします。
 でも物って、見比べて判るのは違いであって、良さはそれぞれ単独で向き合わないと判らないと思っています。並べると違いが目出つ鮮やかさという物差しだけで比較してしまいますが、別々に見ると和紙の優しさは素晴らしく魅力的です。ここで始めて「好き」という物差しが現れます。

 これって物だけじゃなく、人間を見る目もそうかもしれませんね。
 うちの次男が特別支援学級に通っているのですが、一緒に学んでいるどの子も心が優しいいい子です。この良さって健常児と比較すると気づき難いが、それぞれ単独に向き合うと良く判りますね。
 

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2008年10月11日 (土)

マット切り練習

081010_162001 紙漉きとプリントにハマると展示や保管も気になってくる。私たち写真家はブックマットという2枚ばさみのマットを良く使用するのだが、これも額屋さんで切ってもらうと結構いい値段になる。マット紙だけを入手して自分で切れば安くなるのだけれど。45°に斜めに切り込みを入れるVカットは結構難しい。国産のカッターにも色々それ用の物が出ているが、比較的安いかわりに、切り込みの失敗もそれなりに起こる。失敗を計算したら額屋さんで切ってもらった方が安かったりする。
 写真で仕事している者なら持っていてもいいだろうと、米国製の専用のカッターを個人輸入した。LOGANというメーカーのもので、日本では結構な値段で売られているが、米国ではその1/3程度の値段で出ている。送料も重たい割には安く送れる。なので思い切って購入してしまいました。
 コツをつかむためにだいぶ練習しましたが、国産の数千円のものとは大違いに奇麗に切れます。ただコーナーをぴっちりプロのように決めるには、多少のコツをつかむ必要があるようです。カッター刃の交換や下敷きのマットの状態なども仕上がりに大きく影響します。自分で切れると大きなサイズのマットの穴部分からハガキ用のマットがさらに作れたりするのがいいですね。

 練習したマットに中性紙チェックペンの書き込みがあるのがご愛嬌です。携帯電話のカメラで撮った写真なので良く判らないかもしれませんが、マークした跡が黄緑色や黄色に変色していますね。表面が弱酸性や酸性を指示しています。
 中性紙チェックペンは逆にその存在をしらなければ良かった商品かもしれません。使いたかった紙が問題があったりすると結構残念です。 
 日本古来の手漉き和紙にも原料によっては酸性のものがあります。理由はなぜだか判りませんがpH5あたりなので完全な酸性紙です。たぶん版画用のドーサという滲み防止が原料に含まれているのではと思います。これがまた私が好きな生成り色で厚手のものを探すと、なぜか次々と酸性紙に当たります。酸性紙といっても現在のインクジェットのカラーインクよりは長く持つ可能性があるのだけれど、結構値段がする紙なのに酸性紙だと躊躇してしまいますね。
 今のところその手の紙で一番中性度がいいのが、私が自ら漉いたものになるのですが、ハガキサイズぐらいならいいのですが、それ以上のサイズになると我がキッチン工房では漉くのも大変です。そして紙漉きよりも作成中や乾燥中に付くゴミの除去が大変です。なのでとっても割が合わない仕事になってしまいます。一貫した行程が確保されている職人さんの仕事に適いません。
 いずれはどこかの紙漉き職人さんに原料と処理を指定して、自分用の手漉き写真用紙を漉いてもらう必要があるかもしれません。
 

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2008年10月 3日 (金)

いったい中性紙はどこに?

 紙漉きをやりだしてから、自分の写真の保存性が気になって、先のごとくpH計を購入したり、中性紙チェックペンで色々な紙をテストしているのだけれど、正直これほどまでに中性紙の表示がいいかげんだとは思ってもいなかった。
 インクジェット用紙で中性紙をうたっているものの約1/3ぐらいは弱酸性紙や酸性紙です。
 写真や絵画を額装するときのマットボードは、安いものはまず酸性紙であり、結構な高級品でも弱酸性紙だったりする。「えっ、まさかあの商品が」というものにも私のテストでは問題がありました(たまたまかも知れませんが・・)。白ものは比較的大丈夫ですが、アイボリーやクリーム系などから色物は怪しくなります。アイボリー系が好きな私は、入手したマットボードのすべてに何らかの問題がありました。
 今日は色々な物が揃う有名な大規模店の、非常に充実した文具コーナーで「この紙は中性紙です」と書かれているものを額装の際のコーナーに使うために買って来たら、なんとpH4.8のど酸性紙だった。あきれはててしまった。ちなみにBTB試験紙はその店で購入しました。
 正直、いったい本当の中性紙はどこにあるの?といった気分です。

 「中性紙ではないのでは?」と問い合わせをしたメーカーの方からは、「紙のベースは中性紙となっておりますが、インクジェット適性を付与した場合に、その印字面が酸性となっています。」との謝罪のメールが来ました。きちんと認めてくれただけ潔いと思います。
 ただし、酸性紙問題はそもそもインクを使う洋紙が、その滲み防止の為に付加した酸性のサイズ剤が主な原因であることからして、「ベースが中性でコーティングだけが酸性」というのは言い訳にならないと思います。
 というかむしろ酸性コーティングこそが酸性紙問題の歴史そのものだと私は思います。

 それにしても日本の紙製品の品質って、こんな程度なのでしょうか・・ 
 

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2008年9月26日 (金)

pH計入手

 pH計を購入しました。紙漉きのためにそこまで投資する私ってなんなのだろう。でもせっかくの写真をプリントする紙ならば、できるだけ保存の不安は取り除いておきたい。
 測定した結果は、試験紙やチェックペンでこれぐらいかなと思っていた数値とほぼ同様になりました。素人測定なので誤差はあるでしょうが、何回か測定して、相対的な比較は一定していました。
 バナナパルプ<私製バナナ和紙<標準液(pH7)<アルカリイオン水<アワガミ白峰はがき
 といったところです。ちなみにチェクペンだと、私製バナナ和紙は中性紙の範疇に入りますが、BTB試験紙ではやや7に足りないかなぐらいの色判定。pH計だとその辺はっきりとpH6.6〜6.8と出てきました。ほぼ中性紙といっていいレベルかと思います。
 たぶんpH7越えには市販の中性紙同様にアルカリの填料を入れないと難しいと思います。外国製にはpH8越えもありますが、あまりアルカリ過ぎるのも良くないとの研究もあるようです。なのでpH7.2ぐらいを目指してみようかなと思っています。

 でもびっくりしたのが、市販のインクジェットペーパーに酸性と思われるものが結構あることです。しかもそういった商品が堂々と「中性紙」をうたっていることが結構あります。どうもベースは中性紙なのですがコーティングは酸性というもののようです。しかし結果として表面は酸性です。中性をうたっての販売はずるいと思います。
 プロ向け外国製高級紙、国産有名メーカーともに、結構人気のある製品の中にそのような例がありました。「えっ、あの紙が、あのメーカーが」といった感じです。これはチェックペンで調べてみれば一目瞭然なので、気になる方は中性紙チェックペンやBTB試験紙の入手をお薦めします。pH計を購入してからなんですが、BTB試験紙に追加してpH計用の標準液があれば、pH7を基準とした相対的な色判断ができるかと思います。でも数字がでるのって、結構好きなのですよね。なんだかんだ私はデジタル派です。来年の息子の夏休みの自由研究は酸性雨チェックでもやろうかなあ。
 ちなみに私が好きなピクトラン局紙やアワガミ「びざん」は中性紙なので安心しました。

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2008年9月24日 (水)

バナナペーパー(2)

Banana
 ついに私の紙漉きもこのレベルまで達しました。カラー印刷でも十分味があるプリントになっていると思います。というか現行の製品でこれ以上好きな紙はないなあ。紙色から厚み、耳の感じなどなど、自分が満足いく紙を自ら作って、それでプリントしたという写真です。
 しかも、なんと中性紙(pH7弱程度)のクオリティを出しています。入手したバナナ幹パルプは無薬品パルプなので、そのままではどうしても酸性に寄った紙になります。なので必要な処理を行い、しかも保存性と質感を考えて和紙原料をブレンドしました。そこまでの行程が無薬品だからこそ、必要最小限な化学処理を選ぶことができます。最近の和紙原料の中には、なぜかやや酸性に寄っているものもあるので、材料は色々吟味しました。それでもバナナは60%ほどは入っています。
 てんつくマンさんたちが昨年出したバナナ名刺はバナナ30%でやや酸性だったから、それに比べてかなり頑張っています。
 ここまで紙漉きが凝ってくるときちんとしたpHメーターも欲しくなってきます。試験紙だとpH6〜7のあたりはしっかり判定しにくいものです。でもできればpH7越えを目指して、もう少し頑張りたいところです。
 自分で撮影ー紙漉きープリントのすべてをオリジナルでやっているから仕上がった時の感動はすごく深いです。自分でもほれぼれと、ずっと見つめてしまっています。
 ただ問題は・・。いかんせん、深夜のキッチン工房なので生産量が少ないのですよね。


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2008年9月20日 (土)

バナナペーパー

Photo
 発注していたバナナ幹パルプが届いたので、早速紙漉きをしてみた。いつもの写真プリント漉き込みの他に、普通に紙として漉いたものにインクジェットプリントも試してみたのがこの写真。ここしばらくの修行のすえあって、十分プリントに耐える紙を漉けるようになっていた。バナナ80%、楮20%ぐらいの紙です。なかなかの風合いがあります。
 触感は昔懐かしい「わら半紙」を厚手で高級にしたような感じです。現在はわら半紙も稲藁を利用していないとのことですが、日本には古くから非木材紙を使う文化があったのですね。
 バナナ幹パルプは埼玉県にある優良パルプ普及協会から購入しました。この協会のHPは紙と人間生活を考える上で非常に興味深いものがあります。
 ここが開発した紙造くんというパルプ製造機械はものすごく、バナナ幹やトウモロコシの皮などの他に、割り箸やらGパンなどからも、無薬品でパルプを作り出すことができます。地元産間伐材からの紙などにも利用されています。
 バナナやトウモロコシも面白いのですが、日本で一番使われるべき紙原料は、間伐を必要としている放置された人工林であると思います。すでにあるものなので栽培の必要がありません。間伐されると森は見事に生き返ります。
 各市町村は再生紙100%にこだわっているところが多いが、地元産間伐材を使ったパルプの利用がもっとあっていいかと思います。100%古紙のリサイクルだけで循環させることは不可能だし、ある程度良質のパルプを混ぜていく事も紙の循環には必要だと思います。
 紙漉きはほんと奥が深いです。

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2008年9月16日 (火)

紙漉き体験

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 名古屋からそう遠くない豊田市小原村の和紙工芸館に行って紙漉体験をしてきました。ちなみに私は「おはら」で、そこは「おばらむら」で、ちょっと違います。
 やはり本職の人たちの作業を見ると良く判りますね。私の自己流との違いは「ネリ」の濃度でした。ネリはかなり多く使って、それで紙材料を分散させ、均一に薄く漉くのですね。かなりいい勉強になりました。
 海斗は字漉きでアンパンマンの絵を描いていました。
 


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2008年9月15日 (月)

紙漉きは続く

 相変わらず紙漉き練習をしています。色々な素材を試しているのですが、試せば試すほど、一番最初に作った和紙原料だけのものが良く見えてしまう。特に手にした時の触感がなんともいい。
 しかし、きっかけが子どもの夏休みの自由研究で紙のリサイクル実験だったゆえに、牛乳パック再生パルプはなんとか利用してみたい。一見コーティングがしてあるのでリサイクルしにくそうな牛乳パックだが、その下には汚れていない真っ白なパルプがあるので、再利用はしやすい素材だと思います。他の古紙のようにインク抜き漂白の必要がありません。コーティングも慣れれば簡単に取れます。
 でもさすがに歴史ある材料の和紙原料はすごいです。牛乳パックパルプに比べると遥かに薄く、しかも丈夫に漉く事ができます。なので薄くても手触りがいい存在感がある紙作品になるのですが、牛乳パックを混ぜると、手触りがザラつきつつ不要な厚み感が出てしまいます。
 アート面を優先するか、エコ面を優先するか、素材選びは悩ましいです。見せるだけなら表面だけ和紙材料を使って、裏面だけ牛乳パックでいけるのだが、触ってみる楽しみも大事ななので難しいところです。

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2008年9月 9日 (火)

野菜紙(キャベツ、ニンジン)

Photo
Photo_2
 昨年の今頃いっぱい頑張ったダイエットが、5,6,7,8月でしっかりリバウンドが進んでいました。具体的には昨年9月に117.8kgからスタートし、今年1月に77kgまで減らしたのに、一度このような経過があり、8月末に88kgぐらいまで戻してしまった。それで再度9月1日からダイエットをやり直ししています。あんまりキチキチではなく、ゆるやかにやっているのですが、とりあえず6月の85kgまでは戻しました。ちょうど昨年の12月頃の体重ですね。
 写真と関係ないような話だが実は大ありで、私のダイエットでは朝食はジューサーで作った野菜ジュース+豆乳&バナナをミキサーで回したものです。またダイエット中は(好きではないのに)野菜をいっぱい食べます。
 ジューサーで野菜ジュースを絞った残りかすを見て、この繊維を使えないかなと思って作ったのが、下のニンジン紙。冷蔵庫のキャベツを見て、虫食いしてる外側の2、3枚使えるなと思い作ったのが上のキャベツ紙です。「どんな草でも紙になる―植物せんいのふしぎ  大西 秀夫(大日本図書) 」を参考にしました。
 その本では紙材料を付加しないで紙を作っているのですが。私は理科の実験ではなく、あくまでも芸術作品の端くれを指向しているため、手触りや強度の問題から、和紙原料の楮に混ぜて使用しました。どちらもそれ単体でも紙になりそうでもあり、特にキャベツはいけそうではありました。正確な比率は材料の水分量の違いがあって出せないのですが、半分半分を目指したつもりです。
 どうでしょう?結構いい味がでているかと思っています。味といっても食べる方ではありませんが。この2点は繊維抽出にアルカリ溶液など薬品を使っていないので、作りようによっては保存食としての野菜紙も可能でしょうね。混合した和紙材料の楮には薬品が使用されています。ちなみに乾燥したら臭いはなくなりました。
 野菜嫌いな人がダイエット中に見る作品としてどうかなあ。

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