2007年10月31日 (水)

北極のナヌーを見てきました

映画「北極のナヌー」を見てきました。地球温暖化を心配する者として必見の映画です。
 なんとこの映画の監督・撮影のアダム・ラヴェッチは昔良く一緒に仕事した仲です。
 15年ほど前のNHKの「生きもの地球紀行」やTBSの「動物奇想天外」がマドレーヌ島にアザラシの撮影に来たとき、私が紹介して水中撮影をしてもらったカメラマンでした。当時は寒冷地が得意な水中映画カメラマンという存在でしたが、今はこのように監督までするようになったのですね。最近は彼のアシスタントをよく勤めた地元のダイバーが撮影するようになり、アダムが来ることはなくなったため、しばらく会っていません。
 アダムはすごく陽気な男で、流氷の上で寒さ対策で相撲を取ったり、滑りっこをしてふざけていたころが懐かしいです。
 映画の最後に撮影中のアダムのシーンがいくつか出て来て、すごく懐かしかったです。相変わらず細くてカッコいい(上記HPのスタッフのところに写真あり)。映画はアダムならではの撮影でした。もはや陸上(氷上)からのみでは北極の撮影は無理です。時に泳いで移動できるアダムのノウハウが存分に生かされた撮影でした。
 やはり温暖化の進行は非常に早く深刻なことを、実写の映像を持って見せていました。

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2006年12月20日 (水)

うみへのながいたび(3)

 12月に入って連日続いていた小学校でのスライドショーがようやく一段落しました。あとは1月と2月を希望の学校が数校です。
 先日書いたクイズの答えを書きますね。答えは「穴をいくつも開けておき、どの穴から出てくるか判らないようにする」、ちょうどゲームセンターのもぐら叩きのようにすれば、シロクマに簡単には捕まりません。

 今年は一つ答えられなかった子どもからの質問がありました。
 「小原さんはなぜ北極で凍らないのですか?」
 うーん。なぜだろう。生きものは水分が多い体なのに凍らないですよね。死体は凍りますが、なぜ生きていると凍らないのだろう。いい答えが出せませんでした。
 どなたか判る人いませんか?


 

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2006年12月11日 (月)

うみへのながいたび(2)

 教育出版こくご1下で使われている「うみへのながいたび」がちょうど授業で行われている。そのため連日各地の小学校をまわってスライドショーを行っている。どこの小学校でも1年生の反応は素直で、気に入った写真が出ると「ワー」と声が上がるので、私にとってはどんな写真が好きなのか良く判って嬉しい。
 このシロクマの写真物語の写真は、昔私が撮って来たシロクマの写真をみて、これを絵本にしてみたら面白いだろうと考えた絵本雑誌MOEの男性編集者が、児童文学の大家の今江先生に文章を依頼したものだ。元になっているのは、撮影を一緒におこなったカナダの動物写真家ウェイン・リンチさんが書いたシロクマの生態の文書、それを私が翻訳し、今江先生に写真と一緒にみてもらい、写真と文書の組み合わせができた。
 そのMOEを見て教科書選考委員の方が推薦し採用されたのが掲載のいきさつだ。
 なんといっても今江先生の文書が素晴らしい。作家の妻に言わせると、「あれほど子どもが声に出して読んで、情景が目に浮かぶような文書はなかなか書けない」、なので小学1年生の初めて長い音読に使われるのはまさに適材適所なのだと思う。
 写真は何度かに分けて撮影された別々のシロクマの写真を繋げて物語にしている。なので違うシロクマの母子なので矛盾もでてきてしまうのだが、なかでも「あれ?」と子どもが思ってしまうのがこの写真だ。
Kuma30_2
「あれ?もう1頭の赤ちゃんはどこにいったのだろう」と子どもが思ってしまうのだが、逆にあれこれ子どもがそれを考えるので、物語に興味を持つようでもあるようだ。
 スライドショーでは「実はもう1頭はすごく遅れていて写真の画面に入らなかったのだ」と説明しています。
そして「みんなの中に寒い日の朝、お母さんに起こされたあと、また寝ちゃう子いない?」といって、母グマが赤ちゃんを起こしている写真を見せています。実はだいぶ脚色が入っているのだが、こういうことにしています。
 子どもたちからの質問はいつも鋭い。
 寒さを伝えるのに、鼻水や涙、おしっこが凍る話をしたのだが、「血は?」と聞かれて、はっとした。かさぶたの様に凍るのを想像したのだろう。現地で血をだすような怪我をしたことが無かったのですぐには答えられなかった。多分粘度が高い液体なのと体に接触しているから、少し凍るのに時間がかかると思う。
 子どもにこちらから出す質問はこれ。
「シロクマはアザラシが呼吸をするために開けた呼吸穴の前でじっと待っていて、呼吸のために顔を出した瞬間に飛びかかって捕まえてしまいます。アザラシは捕まらないためにどうしたらいいでしょう?」(正答はしばらく後にかきますね)
最初に正解を出した子どもを前に出して、北極で私が実際に使う防寒具と長靴の着用モデルになってもらっています。
 12月はすでに午前中はすでにこのスライドショーで埋まってしまっているが、1月はまだだいぶ空いています。
 講演中に便利なのが、ホタルの撮影で使う「ナース時計」、暗い室内でも蓄光塗料が塗られた文字盤が光ってくれるので、時間が良く判る。子どもはずっと注視しているのであまり腕時計や壁掛け時計を見るのは避けたいので、コンピューターの前に置くのにちょうどいい。
 ホタル撮影の際に懐中電灯やライトをつけなくても時間が判るので重宝しているのだが、パワーポイントを用いる講演でもすごく効果があります。アザラシの赤ちゃんを見に来た現職の看護士さんからいただいたのだが、ほんとすごく役立っています。どうもありがとう。

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2006年11月11日 (土)

うみへのながいたび

  毎年この時期になると、小学生1年生の国語の教科書(教育出版「こくご1下」)に掲載されている、「うみへのながいたび」に関する話を、各地の小学校から求められる。ちょうど私が暮らしている名古屋市でもこの教科書を採用している関係で、今年も20校ほどの小学校からスライドショーの依頼が来ている。11月はまだ少しだけど、12月になるとほぼ毎日どこかの小学校に行くことになる。
 最初は近所の小学校で始めたのが、口コミで近隣の学校に広まり、さらに担当される先生方が転勤するたびにその学校でもと広まっていった。
 小学1年生の反応って、ほんと素直で、こちらも参考になるんですね。
 また質問も面白くて、こちらも勉強になる。
 シロクマの母子の話なんだけれど、「おばあちゃんは?」という質問もあったなあ。この子おばあちゃんが好きなんだなあと微笑ましかった。あと父親が一緒に暮らさないことを、「シロクマは家族を作らない動物です」と説明すると、「ホッキョクキツネはどうですか?」と鋭い質問が出る。同じところに暮らしているのですが、こちらは作るんですよね。
  最後に撮影できるモコモコの防寒具と長靴を出して、生徒に着せてみせるのですが、みんなこれを一番喜んでくれますね。
 

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